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134.ソウルコーチへの道 ep.11 あたたかな質問

ep.11 あたたかな質問

自分では気づいていない何か。
曲がり損ねてしまったどこか。
拾わずにいた何か。
見ないふりをしている何か。
すれちがっている何か。
かけちがっている何か。

スポットが当たるように、照らされるものがある。

(質問は、コーチが掲げ、照らしてくれる、あかりのよう)

だれかといっしょにいられる感覚。
その距離感が、縮まっていく。

***

本郷綜海さんのソウルコーチ養成コースを受講するまで、質問されることが苦手だった。

「どうして、そんなふうに思うのですか?」
「いつから、そんなふうに感じているのですか?」
「それって、ほんとうですか?」

(何か間違えたことをしているからだ)という不安。
(肯定してもらえないからだ)という悲しさ。
(正解を答えなければ)という焦り。

頭がまっしろになり、追い詰められる気持ちで、何も言えなくなってしまう。
質問されると、どうしていいか、わからなくなる。

だから、コーチングにとって、〈質問が重要なファクター〉だと知ったとき、

(どうしよう、無理かもしれない)

と思った。
練習で、質問をされ続けることも。
自分が、質問をすることも。

ところが。
ソウルコーチを学んでいくうち、質問に対する思いが変わっていった。

(質問は、あたたかい)

コーチが質問をするとき、クライアントに対するジャッジはない。
ただ、クライアントといっしょにいる。
クライアントの味方でいると意図して、クライアントの在りようを、そのまま、まるごと、肯定している。
境界線を侵さないからだ。

(質問は、あたたかい)

反応を試されているのでも、否定されているのでも、コントロールされているのでもない。

クライアントのことを知りたいと思い、感じたいと思い、設問してくれる。

ものすごく繊細な、ネックレスのチェーンが、からまりあってコブになってしまったのを、ひきちぎることなく、ていねいに道筋がひもとかれていくのを、根気よく待ってくださるような。

そのことがわかって、質問を待ち望むようになった。

自分では気づいていない何か。
曲がり損ねてしまったどこか。
拾わずにいた何か。
見ないふりをしている何か。
すれちがっている何か。
かけちがっている何か。

スポットが当たるように、照らされるものがある。

(質問は、コーチが掲げ、照らしてくれる、あかりのよう)

寒いときにはあたためてくれ、暗いときには照らしてくれる。

月のあかりのように、ただ、影だけを映すことも。
ろうそくのあかりのように、やわらかく記憶を照らすことも。

春の光のように、夏の光のように、秋の光のように、冬の光のように。
朝陽のように、夕陽のように。

あかりがとどく。

クライアントは、コーチが掲げるあかりで、内側の景色を照らすことも、照らさないでいることもできる。
コーチが無理やり、あかりをかざすことはない。
クライアントから、近づいていく。

そのことを、感じるようになった。
だれかといっしょにいられる感覚。
その距離感が、縮まっていく。

「ソウルコーチへの道」というのは、「クライアントへの道」でもある、と思った。

***

どうして、質問されることが、苦手だったのだろう。
質問は、いろいろなことの引き金を含んでいるのだと思う。

質問という行為。
質問するときの口調。
質問の内容。
質問するときの表情。

「母」に起因するのだろうな、と思う。

質問されたことで、日記を見られたことがわかった、あのときの。

日記を見られた恥ずかしさ。
誰にも見られないと思っていた、自分の幼稚さ。
勝手に読んだことを隠しもしない。
子どもでも、誰にも入ってほしくない場所があることを、理解できない母。

……って、中学1年生の時に、好きな男の子のことを書いていた日記を読まれたことがわかった時、いったい何の地雷だったのか、私は平静でいられなかった。

母にとっては、好きな男の子ができた娘が愛おしく、一緒に話をしたかっただけなのかもしれない。だけど、そんな気持ちにはなれなかった。
鍵のかかる日記帳だったのに、読まれたこともいやだった。

そのときから、大切にしているものは、ぜったいに、人に知られたくない! と思ったし、知られないようにする! と決意した。

〈心に鍵をかける〉

そんな感じだ。
その鍵は、今もはずしていない、と思う。

だけど、つながることができる。
感じることができる。
沸き起こってくるもの。
突き抜けていくもの。
ひろがり、うるおい、あふれていくもの。

傷があっても、トラウマがあっても、〈魂の声〉を聴く妨げにはならない。
傷にも、トラウマにも、ふれないで、〈魂の声〉を体感できる。

(すごいなあ)

私、クライアントへの道も、しっかり歩いてきたのだな。

最初は、ひどかった。
とんでもない、クライアントだった。

「クライアントへの道」も、近いうちに書こう。

ソウルコーチのセッション、受けてみたいけど……テンテンテン…… という人に、なーんだ、大丈夫って、安心していただけるよう。

浜田えみな

ソウルコーチ認定のためのモニターセッション、募集します。近日中。

これまでの「ソウルコーチへの道」


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