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精肉と切り身しか知らない私

今日は、肉や魚のことではなくて、都会の生活の不思議について書きたいと思います。ホンモノを知らなかった愚かな私の話と、これからの時代のことについて。

精肉と切り身しか知らない私

スーパーに並んだ、パックのお肉やお魚。私は小さいころからそれを食べて大きくなったので、実際に、肉や魚がどんな形をしているのかを、あまり考えることはありませんでした。私にとってはパックの中身が、お肉であり、お魚でした。

野菜やお米は想像しやすい。田んぼや畑は見たことがあるし、学校の実習とかの機会もあるし。

釣りをする人にとっては、お魚はリアリティがありますね。残念ながら私は釣りの経験はありません。そして、特に食肉に関しては、畜産の映像などを見たことがあるので、「頭ではわかっているけど実際にはわかっていない」というのが現実でした。

ADDressで生活するようになって、ヤギを飼っている人が、ヤギたちをかわいいがりながらも、将来的には食肉にする計画をしているのを聞いて、理解できるような、理解できないような、理解しなくてはいけないような、複雑な気持ちになりました。

ヤギの彼が言っていたのは、食肉にするために無理やり育てられ、実際には食べきれなくて捨てられる。それが流通している食肉なら、自分で大事に育てて食べるほうがいい。ってこと。

正しい。本当にその通り。でも私は複雑だった。その複雑な気持ちがある限り、私は「わかっていない」人なんだ。

私が今まで見てきたものは「ホンモノ」じゃなかったんだ。と。

ストレス解消のこと

食べ物の話とは全然変わって、ストレス解消のこと。

私は都会で生まれ育ち、普通の会社員として、長い間働いていました。仕事は大好きでしたが、プレッシャーの多い仕事だったので、ストレスとどう向き合うのか、は、仕事がうまくいくための必要不可欠なことでした。

栄養バランスの良い食事を心がけて、足りない栄養はサプリメントで取る。スポーツクラブで運動を欠かさない。眠れない夜は、波の音のヒーリングミュージックを聞く。休暇にはタラソテラピーの施設で過ごす。

周りのみんなもそうやって、日々や休暇を過ごしていたし、私もあまり疑問なく、様々なことに時間やお金を使っていました。

私はここのところ、沖縄の小さな離島で海を見ながらのんびり暮らしていますが、そこでふと、思ったのでした。

あ、今までのストレス解消も「ホンモノ」じゃなかったんだ。と。

沖縄の日々で思ったこと

沖縄の島で、毎日海を見て過ごしています。透明で青く、温かい海水の上にプカプカ浮かんだり、潜って魚をみたり、疲れたら、砂浜に寝転がって、波の音を聞きながら昼寝をする。

別のビーチに行くときには、自転車を漕いで、ちょっとした山を越える。上り坂では、はあはあと息が切れて、自転車を押す。下り坂ではひゅーっと風に吹かれる。

夜になると、民宿のやさしいお姉さんが、お肉やお魚と、野菜たっぷり、フルーツのデザート付きのご飯を用意してくれる。

日に焼けた私は、幸せで元気いっぱいです。

あれ? スポーツクラブも、サプリメントも、タラソテラピーも、ヒーリングミュージックも、べつに要らないんだ。

あれれ?そうか。今までのストレス解消も「ホンモノ」じゃなかったのか!

今までも休暇はあったけれど・・

今までも、休暇でリゾートを訪れたことはあったものの、日本人の休暇って忙しすぎる。「明日何する?」「次何する?」とあんまり、東京にいるときと変わらない気がする。

私は全然気づいていなかった。リゾートでも東京と同じ日々を過ごしていたってことを。

今回あまり予定なく、のんびり沖縄の島で過ごしていて、私がホンモノを知らなかったことに気づいた。それは、精肉と切り身しか知らないこととすごく似ていて、なんだか皮肉だなあと思った。

「今まで」と「これから」

時代は流れる。かつて日本人は、団地に住み、カップヌードルや、マクドナルドを食すことをカッコイイ!と信じていたし、農家よりはサラリーマンが、なんかイケてると思ってきた。

私の時代は、「24時間戦える」ことがかっこよく、働いて、働いて、ホンモノじゃないものを、ホンモノと思い込んで、または、何も考えずに大量に消費してきている。

そしてさらに時代は流れる。スローライフとか、そういう言葉が流行って、「田舎暮らし」「古民家暮らし」「農業」などに興味を持つ若い人は増えている。使い捨てのインスタントな暮らしはかっこ悪いと思っている人は本当に多くなった。でも、現実的には、田舎暮らしも、古民家暮らしも、大変なことはまだまだ多い。

私は東京が大好きだけど、なんとなく、東京生活の「嘘っぽさ」にも気づいてしまった。東京でホンモノじゃない消費をする生活は、ちょっとカッコ悪いと思った。

これからの時代、移動は、もっともっと簡単にできるようになる。技術が進み、環境がどんどん整って、ハイテクノロジーと、「ホンモノ」が共存できるようになる時代が来る。

時代は変わるんだ。私はその中を生きているんだ。星降る沖縄の島で、私は空を見上げて、そんなことを考えていました。

今夜もよい夢をみられますように。






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