見出し画像

宮沢賢治の文学を写真に残す、佐々木隆二

北海道、青森、岩手と続いて4県目の宮城県。ここまで写真文化について書いてみて思うのは、以下のようなこと。

・女性写真家が圧倒的に少ない。
・展示を途切れることなくやり続けている写真家は一握り。
・一人の写真家が興味を持たれ続けることも簡単ではない。

写真家は当たり前だが、一人のプロジェクトなので、辞めようと思えばいつでも辞めることができる。逆に、続けたくても、家族や生活のために継続が困難な場合もあるだろう。女性写真家が驚くほど少ないのもそうだが、男性だとしてもやり続けることは本当に難しい職業なのだなと感じている。

宮城県気仙沼市出身の写真家、佐々木隆二

さて、今日紹介したいのは宮城県出身の写真家佐々木隆二だ。青森県出身の若手写真家、柴田祥が太宰治の「津軽」を写真表現で魅了したように、佐々木は宮城県出身の宮沢賢治の文学作品を写真として残す挑戦をしている。

スクリーンショット 2020-03-29 13.48.27

本の帯にあるように佐々木隆二は、故井上ひさし氏の友人であるが、文学人との繋がりが強く、俳人、歌人などとコラボレーションしながら仙台を中心に写真展を開催している。

宮城に住み続ける人間として震災後には、「外から来た者」が被災地を撮る形ではなく、あくまで当事者として被災地の風景を残すことに専念しており、朝日新聞のみちのく歌壇選者の梶原さい子と『リアス/椿』を刊行するなど注目を集めている。

文学と写真。写真と文学。先人が残した物語のイメージを塗り替えていく写真家たちに敬意を評したい。また、こういった地方に住み続ける写真家がいるからこそ、外から突然入ってくるような、言葉は悪いが暴力的な、残忍さを目的として撮りに来た写真ではなく、当事者の視点で、生活者の目線で残される写真が存在してくれる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?