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双子用ベビーカーの移動で感じる社会的疎外感問題

先日のnoteでは、とにかく散歩しまくっていた旨、記載しましたが、双子用ベビーカーが行ける場所はせいぜい平坦な道路のみ。あの大きさを押しながらの移動は実に大変なんです。特に電車バスなどの公共交通機関では疎まれることも多く、安全面の配慮もされていない。

決して「乗ってはいけない」人ではないはずなのに、見て見ぬふりをされる・嫌な顔をされると、社会的に無きモノとされている気さえして精神的にキツかった。どんどん私と子供だけの世界に閉じ込められていくイメージ。

いやちょっと大げさでしょって思うかもしれませんが、育児の孤独ってこういった様々な要素が絡み合って生まれる根深い問題なのです。決して家庭内だけの問題ではないと私は思っています。

今回は、双子用ベビーカーの移動がどれだけ大変だったかの話です。

■国交省「バス車内での二人乗りベビーカーを折りたたまず使用許可」

と、本題に入る前に、まずは今年の3月31日に国土交通省が発表したニュースを。

大きすぎる双子用ベビーカーはバス車内で相当なスペースを取るので、これまで乗車拒否にあったり、乗車OKでも畳むことを強要されたりといった声が聞かれていました。

畳んでと言われても、赤ちゃん2人を抱え、大荷物を持ち、畳んだベビーカーを支えるとなると手が何本あっても足りません。実質乗車拒否ですね。

国交省によると、現在は双子用ベビーカーも畳まずの乗車をOKとしていて、

・乗降をバス運転手が介助
・座席を跳ね上げ、ベルトで固定

となっているようです。
座っているお客さんに移動をお願いしなければならない場合もあるので、周知徹底がないと絶対に嫌がられて肩身狭い思いをするんだろうなあと思います。

■「どうしても」交通機関を使わざるを得ないシーンは絶対にある

介助が必要な方の移動手段という意味では、基本的にベビーカーも車椅子と同等だと思っています。
(ベビーカーの場合、介助が必要な方=子供のことです)
車椅子に邪魔そうな顔をする人はいないのに、ベビーカーだと露骨に迷惑そうな態度に出されることもあるんですよね……。

でもベビーカーだって「無理して外出するな」が通用しない世界なんです。生まれたばかりの子供って、外出必須なシーンが結構あるわけで。
母子手帳を見返しているのですが、私の場合、自治体で決められていた検診が1ヵ月、3~6ヵ月、9~11ヵ月、1歳6ヵ月、2歳、3歳半とありました。
検診によって小児科や指定の児童ホームに行かなければなりません。しかも予約制だったり、受けられる日が決まっていたりと、誰か一緒に来てくれる大人を探すのも困難ですし、もちろん天気も関係ありません。

その他、保育園への入園希望を出す際にも役所に親子同伴で行かなければなりません。
さらに子供に急病はつきもの。病院と役所関係だけでも月に数回は必要に迫られる外出が待ち受けています。そう上手いこと全てが徒歩圏内に無いのもまた人生。何かしらの移動手段が必要となります。

■双子のタクシー乗車で感じた苦労

当たり前ですが、今の世の中全員が自家用車を持っているわけでも運転できるわけでもありません。しかも妊娠中は運転できませんので「妊娠だ!よし、教習所通おう!」とはいきません。
かくいう私も教習所卒業後7年、ほぼ運転をしたことがない超ゴールドペーパードライバー。
となると必要に迫られる外出時に頼れるのは公共交通機関だけ。バスや電車は迷惑をかけそうだし大変そうだ……と察し、当初はタクシーを使っていたのですが、これも双子にはオススメできません。

まず双子用ベビーカーが車内に入らない。セダン型のタクシーだと確実に荷台に入らないので、後ろのドアを半空き+ロープで縛ってもらう必要があります。
私は初めてタクシーに乗った時、運転手さんが「ちょっと待ってて!」とたまたま近くだった営業所までロープを取りに行ってくれました。
双子だからという理由でタクシーに乗車拒否されたことありませんが、荷台は閉まらないし座席にも入らない双子用ベビーカーの大きさに当惑されていました……。
(現在多くのタクシー会社で取り入れられているワゴン型JPN TAXIならいけるかも)

あとは乗車後の子供二人どう座らせるか問題。自家用車だと当然チャイルドシートがあるのですが、タクシーには現状義務付けられていません。私もチャイルドシート搭載のタクシーに遭遇したことはありませんし、あったとしてもあの車内に2つもあるのか? というか2つ車内に付けられるのか? ……恐らく生身の赤ちゃんと親で後部座席に乗るのが一般的かと思います。

かといって二人を膝に乗せ、抱っこしてシートベルトでの乗車はできない。
もしもうしっかりお座りができる月齢なら子供、大人、子供で並び、両手で押さえつけるしか方法がありません。
低い月齢の時は、一人を膝に寝かせ、もう一人を座席に寝かせ片手ずつで押さえていました。
これ、やむを得ないのでやっていましたが、相当危険です

できれば一人一人しっかり抱っこできるように、もう一人介助してくれる大人との乗車をオススメします。
ちなみに私が子供2人と私の3人でタクシーに普通に乗れるようになったのは4歳になってからです。
タクシーでチャイルドシートがなくても(自家用車ではしていますよ!)、シートベルトができる大きさかつ、落ち着いて座っていられるとなるまで大変でしたね……。

■電車は車内よりも乗降が危険
続いての移動手段、電車。

産前は子育てネタに一切関心を寄せていなかったので知らなかったのですが、6年以上も前に国交省が「電車・バスでベビーカーを畳まなくていい」としているんですね。本当かいな(白い目)。

タクシーも危険と知った私は、電車を使うことに。
混雑時を避け、車椅子用スペースがある車両に乗車するようにしていました。なのでギュウギュウの車内でご迷惑をおかけする……といった状況はなかったですが、本当に1座席に2人くらいしか座っていないような閑散とした時間帯でも舌打ちされたことはありました。誰しもみんな赤ちゃんだったはずなのに、怖すぎィ!

でも一番困ったのが乗降時。双子用ベビーカー+子供2人+大荷物はかなりの重量なので、乗り降りで持ち上げるのがやっと。隙間に落ちそうになったこともしばしばありました。
いま駅員さん暇そうだな~という時は「すみません、板だしてもらえますか?」と車椅子などで使う乗降用タラップをお願いするようにしていました。

一度とある駅で「ベビーカーには乗降タラップ使用禁止なので」と断られたこともありました。でも女性一人で持ち上げるの相当きついし危ないんですよね。これも良しとしてほしい課題です。

あとはエレベーターがないホームも絶滅してほしいですね。
普通のベビーカーならよく片手で抱っこ、片手で畳んで持つ光景を目にしますが(それも相当危ないし大変)、双子用ベビーカーは物理的にそれが無理。

過去に子供とそんなホームに降り立ってしまい立ち尽くしていたところ、駅員さんに車椅子用の昇降機を出していただきました……。
わけもわからずベビーカーごと自動で改札階へ運ばれていた我が子たち。周りの方も微笑ましい目線を向けていただき「その手があったか!」と妊婦さんにも声を掛けられました。
捨てる神あれば拾う神あり。いまはエレベーター工事が完了した御茶ノ水駅の駅員さん、感謝しています。

■双子用ベビーカーでの外出はトラップだらけ

とまあこんな感じで公共交通機関を使うのがいかに大変かという話だったわけですが、そもそも徒歩移動だって「うわ~通れないよこれ……」と絶望するシーンは何度もありました
小さなエレベーター、階段のみで2階にある小児科、狭すぎる歩道、歩道橋……

家を借りる時だって選択肢が狭まります。まず考えたのは、ベビーカーがエレベーターに入るかどうか。小規模マンションだと意外な落とし穴です。
また3階建てくらいのアパートだとそもそもエレベーターが無い場合も。双子用ベビーカーのために住環境も考えなければならないのが実情です。
たとえ畳んだとしても双子とベビーカーは同時に持てません。
数段の段差でも登れないのが双子ベビーカー。人間の手が3本になるのが先か、世の中がバリアフリーになるのが先か、後者であってほしいです。

冗談はさておき。例えば今回の「ベビーカー畳まずバス乗車OK」の発表など、一つ一つ細かいところを整備することから本当の意味での子育てしやすい社会が実現し、母親の孤独は防げると思うのです。

社会は子供と保育者の味方でいるべきではないでしょうか。

これからも頑張ります!