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今の自分を作ったもの

「今の貴方を作ったものは何ですか?」そう聞かれたのならば私は「本です」と答える。ここで「両親です!感謝しています!大好き!」と言わない私は捻くれているだろうか。安心してください、家族大好きです。いや、私は誰に言い訳をしているんだ。安っぽい安村になってしまったがまぁ、私は私を作ったものを聞かれたならば偉人の名前やゲームのキャラではなく、本だと答える。

本ってどのジャンルだよ。まさか六法全書じゃあるめぇな。そう私は心の中の小さなおじさんに聞かれている(もはや幻聴である)気がするのだがここで私のいう本というのは端的に言えば漫画だ。

勿論、小説もエッセイも辞書や絵本、さまざまなジャンルを読むのだが私という人間を形成したのは主に

高屋奈月先生のフルーツバスケット
緑川ゆき先生の夏目友人帳
羽海野チカ先生の3月のライオン
そして私の大大大好きでもはや代々受け継いでいきたい天野こずえ先生のARIAだ。

この本たちは私のその時の感情に寄り添い、励まし笑顔にしてくれた。この本たちの共通点といえば「完全な悪がいない」ということだ。少しお時間頂けるのであれば簡単にこの作品の良さを語らせていただきたい。

フルーツバスケット。これは干支が関係している話で、簡単にいえば干支の動物という側面を持ちながら産まれた一族と、それに関わる主人公、本田透ちゃんのお話なのだ。この透ちゃんは人を絶対に傷つけない。自分が損をして肉体的にも傷ついたとしてもニコニコ笑っている。それは偽善だとか何か裏があると思う人もいるだろうが本当に何もない。一族にかけられたモノを「呪い」と捉えるか「遠い昔からの約束」「絆」と呼ぶか、それは読者に委ねられているのだと思う。

夏目友人帳。妖(あやかし)が見える夏目貴志くんという男子高校生は妖関連で幼少期から多くの苦労をしてきた。他の人からは嘘つき呼ばわりされたり、虐めにあったり身寄りもなく親戚からの風当たりも辛い。しかし彼が最後にたどり着いた安寧の地は妖が多くいる片田舎だった。祖母が残した友人帳という宝物。それで知り合った妖と友情や暖かさ、そして時々恐ろしさを知っていく。妖というと奇妙な存在だと思えるが怖くなどない。話によっては泣いてしまうほど優しいのだ。

3月のライオン。プロの棋士男子高校生である一人暮らしの桐山零くん。とあるきっかけで知り合った川本家の祖父と叔母しか身寄りのない三姉妹の家で温かいご飯を食べて、人に想われ想う気持ちを学んでいく。それはまるで堰き止められていた川が放たれ、緩やかになり木漏れ日の下を流れいずれかは海へと辿る。そんな優しい話だ。人間関係の難しさもありながら、幼い頃からお互いの境遇を知りつつも切磋琢磨してきた戦友と一番辛かった幼少期の姿で笑い合っている新刊の表紙を見た時は思わず泣いてしまった。

ARIA。悪もいなければ意地悪もない。あるのは「こういう人がいて、この人の幸せはコレで、それはとても素敵なことなんだよ」という、怖い怖い真っ暗な夜に生クリームのせココアを「内緒だよ」と笑いながら差し出してくれるような優しさがある。優しい、とにかく優しい。話的にはプロの船乗り(ウンディーネ)を目指す少女たちの話だ。人がもつ嫉妬、恨み、怒り、悩み。きっと彼女たちも持っているだろうけれど、それを上回る幸せな気持ちが私を何年も励ましてくれた。全12巻、愛蔵版もあるのでぜひ。

話が長くなってしまったが、ここまでもし読んでくれた人がいたのなら感謝を伝えたい。ありがとう。オタク特有の早口のような書き方だし読まないとわからない設定もある。それでも気になって一巻でも手に取ってくれたら嬉しい。



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