見出し画像

今年もこの季節が来てしまった!【令和六年甲辰略暦】

 今年も残すところあと2ヶ月を切った。

 私はというと、9月ごろからずっとソワソワしていた。実態のないなにかに追われている気がしてならなかった。

 夏の終わりの寂しさ。あっけなさ。猛暑に耐え抜いた達成感。そして秋の訪れの高揚感。買い物に出たときにふと薫る枯れ葉の匂いに、ノスタルジックを求めてついCLASSの「夏の日の1993」を聞き返してしまう。そして思い出すのだ。私にはやらなければならないことがある、ということを。

 暦作りだ。

 そう、暦。暦が私を待っている。これを書かない限りは、私に本当の秋は訪れない。冬を楽しむ資格も与えられない。

 私が毎年作っている「暦」とは一体なにかをご存知ない方にサクッと説明すると、私のいう暦とは明治時代から昭和初期にかけて制作されていた「略暦」というフォーマットを用いたカレンダーのことである。

 みなさんがご自宅等で愛用しているカレンダーは月ごとに日付が入っていて予定などが一見してわかるようになっていると思うのだが、略暦はそうではない。1枚の紙の中に1年の重要事項がみっちりと詰まって書かれている。月ごとのカレンダーよりももっとおおらかなのである。

 詳しくどのようなものなのかは、これから紹介記事を書いていくのでぜひ読み進めてもらえたら嬉しい。

 さて、制作をはじめて今年で4年目になる暦。

 お手元にある方はぜひ見比べながら読んでいただきたいが、初年はとにかく明治時代に寄せるように制作し、二年目は少しオリジナリティをぶっこみたいという自己顕示欲で不規則的な構図にこだわってしまった。その反省を活かし、昨年作った(つまり今年の暦)のはいわゆる「王道」を目指した。明らかであり、読みやすく、整った構図である。

 さて今年はどういった暦にしよう? ということで、まずは去年の反省を挙げると、日蝕・月蝕について、日本で観測できないものを表記にいれてしまったことだ。

 これは、昨年制作中に「グローバル社会だぜヒャッホー!」の心意気で書き入れたのであるが、他の内容を全て日本使用で記入している以上、ターゲットは日本で統一すべきであったと今なら冷静になって思う。その分スペースを無駄遣いしてしまった。

 その点を考慮しつつ、今年のテーマを決めていきたい。

 1年目は月の満ち欠けをテーマとして、満月と新月の日程を主役にした。二年目は農家さんをメインテーマに、豊作祈願や天災の多い日などを書き入れた。そして3年目は縁起をテーマに、縁起の良い日や方角をメインに書いていった。さて、今年(来年)は?

 パリオリンピック・パラリンピックの年である。これを書き加えないわけにはいかない。そうだ、前回「誤ったグローバル」にしてしまったが、「日本から見た世界・そして宇宙」というグローバルの考え方はどうだろう?

 よし、テーマは決まった。さて早速作業だ。これがしんどいんだ。

 私は「早速作業だ」と思いながらポテトチップスを食べ、バウムクーヘンを食べ、CLASSの「夏の日の1993」を再リピートし、明日からやろう。今日はなんかもう、ほら、忙しいから。なんかほら、夕飯作んないといけないし。あ、風呂掃除もしないといけないし・・・とやたらと家事に精を出し、家中をピカピカにし、ただ日が暮れ、また日は昇り、日数だけが過ぎていった。主人に「進んだ?」と聞かれると、「いや、やり始めたら早いんだよ、私は」と、「まだ本気出してないだけ」みたいな恥ずかしい言い訳を重ね続けた。

 しかし10月も半ばにさしかかるとさすがに焦り始める。ここで追い打ちをかけるようにとんでもない出来事が起こった。べらぼうに風邪をひいたのである。もうこれは神様から「暦をさっさと書かないからお仕置きだ」と言われているのか、「いいんだよ書かなくて。ゆっくりでいいんだよ」と言われているのか、ちょっともうよくわからない。

 しかしこの風邪が転機であった。

 まず、風邪で仕事にいけない。予定もキャンセルになる。主人は「家事をするな」と言う。結果的に私は猛烈な暇人になってしまったのである。

 暇人ではあるが、熱もある。暇人だが鼻をかむのに忙しい。暇なようだがずっと咳はしている。果たして自分が真っ当な暇人なのかも謎である。

 こうなるとただ休んで寝ているしかやることはない。しかし人間とは至極不思議なもので、いつも「寝続けていたい」と思っているにも関わらず、寝続けていると「なにかしたくてたまらない」のである。そしてやることは一つしかない。暦の制作だ。

 なぜか私は熱で朦朧とし、咳で手元がおぼつかず、頭痛と鼻水で目がかすむ中、暦を書き始めたのである。長い戦いを始めるには驚くべきほどHPが足りなすぎる。一度モンスターボールに入り、ポケモンセンターで回復するのを待つべきなのに、一匹で四天王を倒しに行くようなものだ。サトシのピカチュウでも勝てるまい。

 さて、次回はいよいよ暦制作偏!(書き始める経緯だけでこんなに長くなると思わなかった)

 しばし待たれよ! 乞うご期待!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?