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海外の医療制度

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海外の医療制度について簡単にまとめたマガジンです。世界で代表的な4種類の医療制度モデルを4カ国の国を事例にして紹介しています。
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記事一覧

海外の医療制度⑤ ベトナム(前編)

2019年11月にベトナムハノイのクリニック・病院を訪問してきた。 現状・課題について考えてみたい。 ①ベトナムという国について ②医療制度の現状 ③医療機関のサービス提供体制 ③今後のベトナム医療の課題と取り組み 前半は①と②について取り上げる。 ①ベトナムという国について ベトナムは南北に長い社会主義共和国である。ベトナム語がメインで、英語は総じてあまり通じない。周囲にある看板も基本ベトナム語だ。ここは日本に似ているのかもしれない。 ベトナムの人口は、2014年に9

海外の医療制度⑦ シンガポール 前編

アジア随一の経済立国、シンガポール共和国。 一人当たりのGDPがアジアで最も高いことで知られており、2018年実績で世界8位の64,578USD*。GDPの成長率は3%前後で推移している。 (対して日本は世界26位の39,303USDだ。因みに東京の一人当たりのGDPは約1,100万円。) 面積は東京23区と近い(1.2倍くらい)。対して人口は東京23区に対して4割減ほど。うち4割ほどが海外籍保有者だ。 シンガポールは最初は木々に囲まれたジャングルだった。 1819年にイ

海外の医療制度⑥ デンマーク

電子政府ランキング1位(2018)、世界幸福度ランキング2位(2019)、汚職が少ない国ランキング1位(2019)・・・ デンマークといえば様々なランキングで世界のトップにたつ注目の国だ。テクノロジーを活用しながら幸福度が高いクリーンな国というイメージだろうか。 もう少し、デンマークを描写するキーワードを考えて見ると以下のようなものが出てくる。 ・人間中心思考 ・循環型社会 ・ITリテラシー強国 ・国民の政治への参加 ・高負担・高福祉 ・オープンデータ化 ・全国民コホート参

海外の医療制度① イギリス

1月初旬に海外の医療制度についてのセミナーを集中的に受けてきた。 国によって違いがあり、課題もそれぞれ異なる。 ちなみに世界の医療制度を大きく4つに分けるとこんな感じになるらしい。 代表的な国で印象的だったポイントをまとめてみようと思う。 1、イギリス 2、フランス 3、アメリカ 4、オランダ 1、イギリス イギリスで特徴的なのは、政府が医療の提供と支払いの両方の役割を担うこと。医療提供者と保険提供者が一緒になっており、保険会社の選択がない。 In this system

海外の医療制度② フランス

イギリスの医療制度に引き続き、今回はフランスの医療制度について。 世界の医療制度を大きく4つに分けるとこうりますよというのがこちら。 2、フランス フランスの国としての特徴が、国民の社会保険料などの負担率は高くて、社会保障の支出は高い、高負担・高福祉の国というのが特徴。 高齢化率が**20.0%と比較的高いながら(日本は**27.6%でダントツ1位)少子化対策が功を奏して特殊出生率*1.96人と先進国の中では高い水準を維持している。余談だが、日本は現在*1.43人。実は両

海外の医療制度③ アメリカ

3、アメリカ イギリス、フランスの医療制度に引き続き、アメリカ。アメリカは先進国で唯一、すべての国民を対象にした公的な国民皆保険制度がない国と言われている。世界の医療制度を大きく4つに分ける中で、アメリカは先進国の中で唯一自己負担(out-of-pocket)に頼ったPrivate Insurance Model。個々人が持っているお金に応じてかかれる保険、医療サービスへのアクセスが異なる。イギリスなどのセフティーネット要素が強い医療制度の対局にある。 アメリカの医療保険

海外の医療制度④ オランダ

4、オランダ イギリス・フランス・アメリカとそれぞれ違うモデルの医療制度を取り上げたが、オランダはイギリスのBeveridge ModelとフランスのBismarck Modelの影響を受けており、管理競争モデルとも言われる。 オランダは患者の立場での望ましい医療を提供しているというところで欧州屈指の評価を受けている国。スウェーデンの民間医療調査機関ヘルス・コンシューマー・パワーハウスが2018年11月に発表した「Euro Health Consumer Index 20