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なぜ澁谷かのんに留学話が舞い込んだのか。ラブライブ!スーパースター!!2期


2022年10月9日、『ラブライブ!スーパースター!!』第2期最終話が放映され、その約2時間後、TVアニメ第3期の制作と、Liella!第3期生の一般公募オーディションが発表されましたが、約1ヶ月が経つ今でも未だに最終回が物議を醸しているようですが、脚本家が未熟で無能だから以上になにか問題があったように思えてならないのです。

竜頭蛇尾をどこまで払拭できるか

ラブライブという作品は、個人的な主観として毎シリーズ一話は天才的に話運びがうまいし、メンバーが集めをしているときは面白いのに、竜頭蛇尾というか、それが終わると作品がつまらくなってしまう印象があるのです。
そのことは脚本家の井上敏樹も指摘しています。

『里見八犬伝』もそうなんだけど、ああいう作品は味方が集まるまでが面白い。集まっちゃうと……同じような話が続いてつまらない。あとはボスを倒すだけのストーリーになる。

https://nikkan-spa.jp/1843080

ラブライブというシリーズのメンバー構成というのは思えば、3年生が卒業したら解散したμ's、学校が廃校して、3年生が卒業しても続ける(としたが具体的にどうするのかははぐらかした)Aqours、ソロアイドルの集団とされた虹ヶ咲と、毎年異なる切り口を提供しており、本作は「新入生が入り、新たな仲間も増える」というのが軸として採用されています。

これは、メンバーが揃えば話が間延びするということへの対策もあると思われ、アニガサキ2期も13話中9話は新メンバー集めに費やして、のこり4話で13人の日常回とライブの話で〆るという構成を採用していましたが、仮に5人構成のままなら、2期も3期も最終回まで一体何で埋めたら良いのか、素人がちょっと考えただけでは皆目見当がつかないのです。

もともと勢い重視の本で減点主義で見る視聴者から評価が芳しい本ではなく、そういう見方が主流になっていると言うのであれば商業作品である以上、ただ消え去るのみだと思うのですが、一方で、評判のいいアニガサキがそれこそAqoursのようにドームツアーをできるほどに動員力があり、「今年は紅白だ」みたいな売れ方ならまだしも、虹ヶ咲は虹ヶ咲でアニメから入ったファンがスクスタや多シリーズへの動線になっているわけで感じられず、「全推し」の層がぐるぐるお金を回している感じがします。

さらに言えば、どうもニジガク新規層は虹終わったらリコリコ、リコリコ終わったら水星みたいなライトな消費のされ方が主流なのかなとは思います。少なくとも特定のスタッフ降ろして後釜にロジカルな本を書かせれば、評判が良くなってグッズが売れ出すわけではないのは間違いないと思います。

明らかに12話構成に対して多すぎるテーマ

ただ、スーパースターという作品で、個人的には一つ間違いなく言えるのは12話構成に対して、明らかにやるべきテーマが過多だったということは強く感じるのです。

わずか12話で新人加入・本戦勝利・ラブライブに興味のないマルガレーテとLiella! との対比・サニパとの決着etcなどというテーマはあまりに設定過多でどれか1つか2つに絞るべきだったように思いますし、せっかく集めた新メンバーの掘り下げもうまく言っているとは思えないのです。

アニガサキなんて二期でやっていることはさっきも書いた通り「メンバー集めて、みんなでガーデンシアターでライブするよ」というシンプルな筋なだけになんであんなにてんこ盛りで要素を削ぎ落とせなかったのかとは思うのです。

就職先:Liella!

これはあくまでも仮説ですが、まず考えられることとして流行病でメンバー決定が遅れていたのは確実で、その遅れを挽回できずに、脚本の精査もできずにそのままニ期まで突貫工事のように作ってしまったのではないかと推測しています。実際、演技指導がなくてOJT状態だったというのは青山なぎさが9月の配信生放送で証言しています。

さらに言えば、オーデションを受ける当時のインタビューから推察すれば、合格当時に高校生のメンバーは「進学しないでLiella! に専念してほしい」という要請がされていたように思えます。

仮にそうなら、高卒で就職した先はLiella! という状態なわけで、スクスタでキャストが年単位で放置された反省もあり、作劇の都合でケツは絶対にずらせなかった、絶対に出演させる確約が必要だったのではないかと想像しています。

突貫工事をした歪みは、2期放送前から放送中にかけては聖地トラブルとかタクシー事故とか演者が立ち替わりで病欠したり、いろいろな歪みが出てきており、一度タイムラグを置くのはやむを得ないのではないかと思います。

留学の謎

おそらく一番批判が多いのは留学がキャンセルになったことでしょうが、これ作劇的にもわざわざ2期の段階でやるような必要性を感じないし、なんでそんな話をするのか私は甚だ理解できないのです。

あえてやる必然性があるとしたら、かのんというか伊達さゆりが何かしらの事情で一時的にも降板するか、2期で終わらせるみたいな話がかなりの段階まで話が進んでいたけど、(おそらくは3期のOA時期を開けることで)継続できることになった。ならいっそ「新メンバーも公募させて、さゆりんの話し相手を作ろう」みたいな話になってもおかしくはないのかなという感じはわきます。

正直最初見たとき「もしかして2期で終わらせるのが、急に延長が決まったのか」と思ったほどでしたし。

もちろんクリフハンガーとして本当に留学させる気なんて欠片もなく、ただ視聴者を驚かせて興味を抱かせるために描いた可能性も十分にあるわけですし、ラブライブ!の花田脚本は平気でそういうことを描く節はあるのも事実です。

しかし、素人考えなら最終回は、東京大会にしてサニパとのケリをつけて3期1話の冒頭でメンバーから本戦に優勝した事を語らせて、かのんに師事しろと言われていやいや入ってきたウィーンが、スクドルに魅せられる話をやりながら(なんせ来年のかのんは高3なので自然に進路の話になる)、留学の話を出した方が、脚本的にはシンプルで話運びもきれいな気はするのですが、それをあえてやらなかったのか、できない事情があったのかもしれません。

大事にできない大好きな気持ち

楠木ともりが虹ヶ咲のライブのMCで語ったのか、せつ菜の発言だったのかどっちか忘れたのですが、「他人の大好きの気持ちを、大切にしてあげられましたか?」という旨の発言があったと記憶しています。

このコンテンツを見ると「大好きという気持ちの尊重」というのは一つテーマになっていて、どのグループにも歌詞に「大好き」という言葉が出てくるはずなのですが、ニコ動で悪評があるからダメとか、どうも付和雷同にダメと言っているからダメと言っているだけでサンドバッグのように使っているような気がすることを感じるのは確かです。

いずれにしろ、おそらく今までよりも3期メンバーがそろってLiella!が「完成」した後の方がずっと長いわけで、奮起に期待したところです。

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