さよならLOVE!〜また、いつか…〜
〜第一章 「out of the blue」〜
僕らは同じ夢を見ていた
ずっとこれからも一緒に歩んで行くんだと思っていた
〜帰り道〜
聖来:きれいやなぁ…
〇〇:夕日?
聖来:うん…
〇〇:きれいだね
聖来:…
聖来は思いつめた顔で夕日を見つめた
聖来:…〇〇くん…
〇〇:ん?
聖来:…私、転校するの…
〇〇:…えっ?…
僕は頭の中が真っ白になった
〇〇:どういうこと?…
聖来:そのまんまの意味…
聖来:やから、別れよ…
〇〇:どうして?!別れることないじゃん!
聖来:〇〇くんは私よりもっと素敵な人を見つけられる
〇〇:…聖来…
〇〇:(そんなことできるわけないだろ…
聖来:今は無理かもしれんけど…
〇〇:…別れるっていう選択肢しか無いの?…
聖来:…うん…
〇〇:そんな…
〇〇:…聖来は平気なの?
聖来:そりゃ寂しいけど決めたことやもん
〇〇:…転校っていつなの?
聖来:…一週間後…
〇〇:すぐじゃん…
聖来:ごめんな…もっと早く伝えたかったんやけど
聖来:なかなか言えんくて…
〇〇:…
僕は立ち尽くすことしかできなかった…
〜翌日〜
先生:突然だが、早川から報告がある
聖来は先生の横に立った
聖来:突然ですが、早川聖来は転校します
全員:えっ?…
あやめ:そんな…
遥香:いきなり…
史緒里:いやだ…いやだよ…聖来…
さくら:ちょっと!〇〇くんもなんとか言ってよ!
僕は黙って下を向くことしかできなかった
聖来は何をしても止まってくれないというの
を分かっていたからだ
何より別れている僕に口を出す権利なんて無い
すると、誰かが肩を叩いてきた
真佑:〇〇くん、ちょっと放課後屋上来てくれる?
まゆにいきなり呼び出された
〇〇:うん…わかった
〜第2章 「優しさと強さ」〜
~放課後~
僕は屋上へ向かった
屋上についた時にはもうまゆがいた
〇〇:…お待たせ…
真佑:〇〇くん…
〇〇:…どうしたの?
真佑:今、聖来への気持ちはどう?
〇〇:どうって…
真佑:多分昨日聞かされたんだよね?
〇〇:…まゆは知ってたの?
真佑:私は相談に乗ってたからね
〇〇:……
真佑:聖来ね、私へ相談しに来る度にずっと泣いてた
真佑:もっと一緒にいたかった…
真佑:もっと笑い合いたかった…
真佑:もっと喧嘩したかった…
真佑:ってね…
〇〇:…
真佑:こういう事を言ってくる度に
真佑:〇〇くんがうらやましいな~って思ってたよ…
〇〇:…
僕は、知らぬ間に涙がこぼれた
真佑:だから、〇〇くんは今ある時間を大事にしてね
〇〇:でも…僕はもう…
まゆは僕のことを抱きしめた
真佑:こういう事したら聖来に怒られそうだけど…
〇〇:…
真佑:…聖来と別れたんでしょ…
〇〇:何でそれを…
真佑:昨日、びっくりした
真佑:聖来が泣きながら寮に帰ってきて話を聞いたら…
〇〇:……
真佑:…今だけ、泣いてもいいよ
真佑:聖来の前で泣くなら、今ここでたっぷり泣いたほうがよくない?
真佑:きっと聖来も〇〇くんが泣いてるの見たくないだろうし
〇〇:…っ…聖来…
まゆは優しく背中をさすってくれた
ここまで我慢していたものが溢れ出てきた
〇〇:…聖来ぁぁ…
僕が泣き止むまでどのくらいたっただろうか
涙が枯れるまで泣き続けた
ずっと、まゆはこんな僕に付き合ってくれた
真佑:…落ち着いた?
〇〇:うん…ありがとう…
真佑:私にできることはこれぐらいしかないから
真佑:このままでいいと思うなら否定はしない
真佑:でも絶対に後悔しないでね
真佑:聖来も〇〇くんも大切な友達だから…
真佑:二人を応援してるよ
そういってまゆは屋上から出て行った
〇〇:(いいわけないだろ…
日が暮れそうだったのでとりあえず家に帰ってから考えることにした
〜第3章 「もっと好きになる」〜
〜帰り道〜
橋を渡っていたら川に誰か女の子がいた
〇〇:…聖来?
聖来:…あっ…〇〇くん…
そこには、泣きそうになっている聖来がいた
〇〇:そんな所で何してるの?
聖来:…
聖来:…イヤリング…
聖来:ハートのイヤリングを探してるの…
〇〇:えっ?…
それは、僕が初めて聖来にプレゼントしたものだった
________________________________
僕と聖来は放課後、教室で喋っていた
〇〇:目つむって?…
聖来:どうしたん?急に…
聖来が座っている席の机にプレゼントを置いた
〇〇:開けていいよ
聖来は目を開けた
聖来:え!なにこれ!
〇〇:プレゼント
〇〇:今日は聖来の誕生日だからね
聖来:ありがとう~開けてもいい?
〇〇:いいよ
聖来は鼻歌を歌いながらプレゼントを開けた
聖来:かわいい…
〇〇:聖来はいつも、愛が足りひ~んっていうからハートのイヤリングにした!
聖来:うれしい…ありがとう!
聖来:愛足りとるわぁ…
〇〇:喜んでもらえてよかった
聖来:大切にするな
________________________________
なんてことがあったっけ…
聖来:さっきあの橋で落としてしまって…
〇〇:そういう事か…
僕は靴下を脱いで川に入った
〇〇:うわっ…冷た…
聖来:何やっとん!…
〇〇:僕もいっしょに探す!
聖来:でも…
僕は聖来の手をつかんだ
〇〇:こんなに冷たくなるまで頑張るなよ…
〇〇:別れてても…僕は無理…
〇〇:聖来のことほっとけない…
聖来:〇〇くん…
聖来:(ずるいよ…〇〇くん…
聖来:(こんなの…
聖来:(もっと好きになっちゃうやん…
僕と聖来はハートのイヤリングを一緒に探した
15分後…
聖来:…あった!
〇〇:ほんと?!
聖来:ほら!
そういって聖来はハートのイヤリングを僕に見せた
〇〇:ほんとだ!よかった…
外も暗くなり始めていたので無理かなと思っ
ていた
久しぶりに、聖来の笑顔を見た気がする…
〜第4章 「2人で叶えたいこと」〜
僕たちは橋の上で川を見ながら話をした
聖来:やっぱり…無理や…
〇〇:何が?
聖来:〇〇くんと別れるの…
〇〇:自分から別れようって言ったのにそれ言うのずるいでしょ…笑
〇〇:…何で別れようなんて言ったの?
聖来:…いろいろあるけど…
聖来:一番はお互いのために…
聖来:このまま付き合ってバイバイしたら私も〇〇くんもお互いの道を歩めなくなりそうやったから…
〇〇:…
聖来:それに…
聖来:〇〇くんのこと、やっぱり大好きやから…
聖来:これからの道を歩まずに〇〇くんについていきそうやったから…
聖来:後戻りできないように…
〇〇:…聖来…
僕は聖来のことをゆっくりと抱きしめた
〇〇:別に別れることになってもいいよ
〇〇:でも、モヤモヤが残るのは絶対に嫌…
聖来:…〇〇くん…
聖来は僕の胸で泣いた
聖来:…はぁ…何回泣いたら気が済むんやろ…
聖来:自分で決めた道なのに…
聖来:〇〇くんは強いなぁ…
聖来:私よりも〇〇くんは辛い思いしとるはずなのに…
〇〇:そんなことないよ…
〇〇:まゆに放課後呼ばれたの知ってる?
聖来:…あぁ、何か話しとったなぁ
〇〇:その時に聖来に負けないくらい泣いたから…
聖来:そうやったんや…
沈黙が続く…
先に僕が口を開いた
〇〇:聖来…
聖来:…ん?
〇〇:あと、一週間でしょ?…
聖来:うん…
〇〇:この一週間で聖来がやりたかったことできるだけ叶えよ?
聖来:…うん!
〇〇:…よし!決まり!
この日から僕と聖来は、聖来がやりたかったことをできるだけ叶えた
大阪へいっしょに旅行へ行ったり…
アイドル部のみんなと協力して写真集を作ったり…
聖来といっしょに思い出ツアーに行ったり…
できることは、なんでもした
でも時間は待ってくれない…
〜第5章 「ラストライブ」〜
あっという間に転校前日になった…
今日は、体育館で転校ライブをする日だ
アイドル部のみんなと一緒に先生に無理言って、体育館にライブを設置してもらった
開始1分前…
急に聖来に抱きつかれた
上目遣いで…
聖来:私のこと…見ててな?
僕は涙が出そうになった
〇〇:…もちろん!
聖来:じゃ…行ってくるわ…
〇〇:おう!
僕は聖来の背中を押した
ライブがスタートした
聖来:今日は盛り上がっていくぞ〜!
僕は最後のアイドル姿をこれでもかっていうほど焼き付けた
ライブは順調に進み…
あっという間に最後の曲となった…
聖来:それでは…最後の曲に行く前に…
聖来:少しお話をさせてください
聖来:まず、このライブを開くために動いてくださった方にお礼をさせてください
聖来:本当にありがとうございます
聖来:今まで私のことを応援してくださった方にもお礼を言います
聖来:本当にありがとうございました!
聖来:この学校に入って、アイドル部に入ってなかったら
聖来:こんなに辛い思いをしなかったのかな
聖来:と思う日も、なかったわけではありません
聖来:それでも、続けてこられたのは
聖来:ここまで一緒に走ってくれたアイドル部のみんなや
聖来:応援してくださったファンの皆さん
聖来:この存在にいつも助けられました
聖来:本当にここまで一緒に坂を登ってくださってありがとうございました!
聖来:それでは時間も迫ってきているので、最後の曲に行きたいと思います
聖来:聞いてください…
聖来:「out of the blue」
ついに最後の曲が流れた
後半は涙であまり見えなかった
でもきっと最高の笑顔で踊っているだろう
僕は涙を拭いて最後の決め顔を目に焼き付けた
聖来:…っ…ありがとうございました!
聖来は泣きながらステージを降りた
〜最終章 「さよならLOVE!」〜
そして翌日…
転校当日になった
みんなに気を使わせてもらって、2人は一緒に帰ることになった
聖来:もう最後か…
聖来:一緒に帰るの
〇〇:そうだね…
聖来:そんな悲しい顔せんで?…
聖来:お互いを思い合っていれば
聖来:きっと道が交わる時がくるんよ
〇〇:ほんとに?…
聖来:うん。今は道が違うだけ
聖来:もし、道が交わって会う事になったら…
聖来:…私のこと…お嫁さんにしてな?
〇〇:…っ…もちろん!
聖来:やから…私のこと絶対に忘れんとってな?
〇〇:忘れるわけないよ…
少し沈黙が続いた
〇〇:…最後に一つだけ聞いていい?
聖来:ん?
〇〇:…楽しかった?
聖来:この学校に入って?
〇〇:うん
〇〇:ライブの時、「この学校に入ってなかったら、こんな辛い思いをしなかったのかな」
〇〇:って言ったじゃん
〇〇:あの時、楽しかったのかな…って思ったから…
聖来:もちろん、楽しいことだけじゃなかった…
聖来:辛くて逃げ出したいと思ったこともあった…
聖来:でも…そういうの、全部引っくるめて…
聖来:楽しかった!
聖来は満面の笑みで言った
〇〇:そっか…それならよかった…
聖来:あっ…そろそろ行かな…
聖来:じゃあ、元気でね…
〇〇:うん、またね!
僕は今できる最大限の笑顔で手を振った
聖来:…っ…
聖来は改札の奥へと消えてった…
全員:よかったじゃん!笑顔で送り出せたじゃん!
〇〇:どうしてここに…
真佑:〇〇くんのことが心配になってね…
〇〇:まゆ…
さくら:もう泣いていいんじゃない?
遥香:ね。もう泣いていいよね…
〇〇:…っ…聖来ぁ…
みんなは僕の涙を受け止めてくれた
~聖来が転校して5日後〜
真佑:またコンビニのパン~?
〇〇:悪い~?
真佑:そうやって言って、私の弁当を食べようとしてるんでしょ~
〇〇:違いますぅ~
相変わらず教室は騒がしかった
ふと、元聖来の席を見る
もちろん、いるわけがない
ただ僕の心の中にはずっとこれからも居続ける
〇〇聖来:(また、いつか…
END
見てくださってありがとうございました!
今回は卒業記念として聖来ちゃんを書かせていただきました。
乃木坂を好きになったきっかけの人が、聖来ちゃんで今の推しとは違うけど、その次に推してるくらい聖来ちゃんは魅力的で大好きなメンバーの一人でした。
そんな聖来ちゃんが、卒業発表をした時は正直、悲しいだけじゃ言い表せないくらい色々な感情が出てきました。
というか、この話を書いたのが卒業発表してすぐくらいの時に書き始めたんですが、書いている時に色々な感情が溢れ出てきて泣きながら書いている所もありました笑
多分、これからは聖来ちゃんの話はもう書かないと思います。これから出す長編作品には出ると思いますが、聖来ちゃんがヒロインとして出ることはもうないと思います。
最後に長くなってしまって申し訳ありません。
ここまで見てくださってありがとうございました。
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