いいとこめがね
学会で講演会を聴講していた時だったと思います。講演会の中で演者の方が質問を受けていました。
「演習を行なうときに大切にしていることはなんですか?」
「学生を褒めることです。粗は目立つから良くなかったところを指摘することはそんなに難しくないんです。でも良かったところを褒めようと思うとその学生のことをしっかりと見ていないと出来ないんです。良くないところを良くないと指摘することも大切ですが、良かったところを良かったとつたえることはそれと同じくらい大切なんです。」
この言葉はとても感銘を受けました。そして確かにと思いました。悪いところは目立つし、学生は演習で初めてのことをやってるから指摘なんていくらでも出来ます。でも良いところを褒めようと思うとめちゃくちゃしっかり見てないと気付くことができない。演習において良いところはきっと違和感なく進んでいるところだから。ぼくは、学生さん達には講義も演習も積極的に参加して欲しいと思ってます。そして積極的になれる基盤はきっと成功体験だったり、失敗しても問題ないという安心感だったりします。演習でデモンストレーションをやったら失敗もしたが褒められた、そういう成功体験がその基盤を作ってくれるのではないでしょうか。
またこの話を聞いたときに臨床で働いていたときのことを思い出しました。どこの職場でもいるとは思うんですが、きつい人がいたんですよね。そのきつい人が新人さんに指導をきつめに行なっていたんです。ああいうのって見てるだけでも嫌な気分になるんですよね。そのことをべつの先輩に愚痴ったときに先輩が言ってたのが、「いいとこめがね持ってないのかな。新人さんも良いところいっぱいあるのに。」これを聞いたとき少しほんわかした気持ちになったんです。いいとこめがねって表現が素敵だなと。ぼくも是非使っていこうと。きつい先輩のいいとこは見つけられなかったですけど、それ以来新人さん達もすごく素敵に見えたし、同僚や先輩のいいところもすごく見えるようになりました。きつい先輩のいいとこは見つけられなかったですけど。
最近、いいとこめがねをかけ忘れてた気がするので、今日からまたしっかりといいとこめがねをかけようと思います。
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