5日目と6日目胚盤胞の臨床成績

【ご質問】

胚盤胞の培養日数(5日目、6日目)に何か違いはありますか?

一般的に5日目胚盤胞が多いようですが、成長が早すぎたり、遅すぎても良くないのでしょうか?もし同じグレードだった場合、どれを優先的に移植するのが良いでしょうか?

【回答】

一般的に、早く発育した胚盤胞の妊娠率、正常染色体胚率、出産率が高いことが報告されています。

最も報告の多い、5日目 vs 6日目胚盤胞をメインに解説しています。

まずは、胚盤胞の評価法についておさらいしていきましょう。


胚盤胞の評価法:Gardner分類について


胚盤胞の評価方法は、Gardnerという研究者が2000年ごろに提唱した胚盤胞の評価法が最も普及しており、日本国内で最も利用されています。とても簡単なので是非覚えてくださいね。

まず胚盤胞の大きさや孵化の状況によってステージ1〜6に分類されます。


ステージ1:細胞が集まって凝集した状態(桑実胚)に胞胚腔が形成された状態
→大きさは分割期胚とほぼ同じくらい

※ 胞胚腔とは、胚盤胞が拡張するために液を貯めるための空間みたいなもの

ステージ2:胞胚腔が胚の半分を占めた状態
→大きさはステージ1とほぼ同じくらい

ステージ3:胞胚腔が胚の半分以上となり少し拡張して透明帯が薄くなった状態
→大きさはステージ2よりも大きく140〜160μmくらい

ステージ4:胞胚腔が全体の80%以上を占め、透明帯は極薄に拡張した状態
→大きさはさらに大きく170〜200μmくらい

ステージ5:透明帯から胚盤胞の中身が脱出(孵化)し始めた状態

ステージ6:透明帯から胚盤胞の中身が完全に孵化した状態

さらに、胚盤胞というステージでは細胞が下記の2種類に分かれています。

ICM(inner cell mass):将来胎児に発育する細胞の集合体
TE (trophectoderm):将来胎盤に発育する細胞たち

この2種類それぞれの細胞の多さや緊密さからA,B,Cの3種類に分類し、胚盤胞を評価していきます。

組み合わせは9通りとなり、AAからCCまであります(AA,AB,BA,BB,AC,CA,BC,CB,CC)

例えば、
ステージ3
ICMグレード "A"
TEグレード   "B"
の胚盤胞であれば "3AB" という評価になります。

5日目と6日目胚盤胞の定義


まず、5日目と6日目胚盤胞の定義ですが、
採卵から何日目で「移植可能胚盤胞に発育したか」という事です。

この移植可能胚ですがクリニックによって若干異なります。

Gardner分類のステージ1から移植可能とするところからステージ4以上でないと移植も凍結もしないというクリニックもあります。

また、ICMとTEのグレードも、CCから移植可能とするところからBB以上でないと移植も凍結もしないというクリニックもあります。
(ここらへんの正解はない)

これらの点を踏まえた上で、5日目と6日目の胚盤胞の成績について見ていきましょう。

5日目と6日目胚盤胞の臨床成績

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