2個移植と多胎妊娠のリスク

【ご質問原文】

いつも参考にさせていただいております!
26歳、これまで二度の胚移植で陰性で着床不全の検査を行った結果、プロテインS欠乏とTh1/Th2比率が引っかかりました。 次回移植時はそれらを補う(あるいは整える)お薬を服用しながらになるのですが、そのために自費での採卵/移植になり、正直ここで終わらせないともう後がない状況です。

なので正直、二個戻しを希望しているのですが、やはり病院の先生やサロンの方には嫌な顔をされます。

原因もおおよそ分かったし、若いから多胎の可能性が高いというのもわかるのですが、これまで何年もかけてほぼほぼ掠りもしなかったことを考えるとどうしても一個戻しだと不安になります。

ぶらす室長さんも私のような患者に対しては、あまり個戻しはさせたくないなあと考えるものでしょうか。

医療従事者に(この考えに関しては)味方がいないので、私の考えがそこまで甘いのかなとかんじます。


【回答】

ご質問ありがとうございます。

考えが甘いというわけではないのですが、多胎妊娠のリスクを考えると、医療側としてはおすすめできない気持ちもわかります。

医療側としては、何かあった時に
「なぜ26歳に2個も移植したの?」と言われたくないのが本音ですね。

以下引用です。

多胎妊娠の代表的なリスク

悪阻(つわり)、早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、HELLP症候群、胎児発育不全、胎児形態異常、子宮内胎児死亡、血栓症などの合併症が単胎妊娠に比べ起こりやすいことが知られています。

特に早産は多胎妊娠では頻度が高く、子どもの予後に大きく関わる合併症です

2017年人口動態統計によると、37週未満の早産は単胎が4.7%であるのに対し、多胎の場合は50.8%と非常に高率です。

死産率、周産期死亡率、乳児死亡率は減少傾向にありますが、単胎児に比べれば多胎児の場合は死産率が2倍強、周産期死亡率と乳児死亡率は5倍前後高くなっています。

これはひとえに、多胎の場合は早産が多いことに起因します。

引用: 厚生労働省 多胎児支援のポイント

2個移植による多胎の割合は、いろいろな報告がありますが、1個移植のおよそ5〜20倍と言われています。

もちろん、2個移植をしても単胎妊娠になる事も多いですが若齢という事もあるので、多胎となる割合は高齢の方よりも高いと考えられます。

高齢は高齢で、もし多胎になってしまうと今度は母体側のリスクが増しますので、お産を行っていない施設は移植を慎重にならざるを得ないところ
かと思います。

個人的には、2個移植でないと妊娠しない症例が存在するのも経験していますので、「絶対やらない方が良い」と言えるものではないです。

胎児側と母体側のリスクを重々承知頂いた上で患者さんが希望し、なおかつ、日本産科婦人科学会の見解に沿った症例であれば、実施しても良いとは思っています。

以上です。
ご参考になれば嬉しいです。

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