見出し画像

【10】コーチングとの出会い 「人の可能性を信じてともに歩む」

 そんな体験が融合していく喜びを感じつつも、一方で「自分をほんとうに生かせる貢献は何だろう」という問いはいつも頭にあった。そんな時に、コーチングと出会う。人の可能性を信じてともに伴走するアプローチが、人を無理やり方向づけたくない自分の性分には合っていた。

 自分がコーチングを受ける中でもいろいろな発見があった。「自分には選択肢がない」と自分の可能性を制限づけていたことに。本当にやりたいことを話すにつれ、大きな問題だと思っていたことが取るに足らない些末な問題に変化したことに。勝手に自分で自分にかけていた縛りがひとつずつほどけていくようだった。

「これは必要なものだ」

そう確信してコーチになるための研修を受講していると、衝撃的なことが起きた。それは、研修受講中に自分がクライアントにコーチングをした場面の振りかえりをしていたときのこと、ある言葉を口にした瞬間に涙が溢れて止まらなくなったのだ。

「あの人をひとりにしてしまった」

他の人から見れば「相手の声をきちんと聴けていなかった」というコーチとしての課題の吐露に見えただろう。ただ、自分にとっては、「人のそばにともにいてその人の可能性を信じて歩む、そういうことがしたいはずなのに、できていないじゃないか」という気持ちだった。

それは、居場所を感じられなかった子どもの頃の自分がしてほしかったことであり、自分の心に蓋をして忘れていた大切なこと。そしてマネジメントするときにも大切にしていたこと。人生に一本通っている軸に気づかせてくれたのがコーチングだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?