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メスカルとは?

 メキシコの伝統飲料といえばテキーラが有名ですが、
同じ多肉植物である竜舌蘭(リュウゼツラン)『ブルーアガベ』などから造られるより伝統的な飲み物がメスカルです。テキーラの母の異名を持つメスカルはスモーキーで奥深い味わいがします。

【メスカルとは?】
マゲイ(アガベ)を100%使ったメキシコ産蒸蜜酒で、自然発生または培養微生物を使い発酵させた汁を蒸留し作ります。この汁とは、原産地呼称制度に含まれる土地で収穫されたマゲイの基部を蒸し煮し発酵させたものから抽出したものです。

【メスカルの飲み方】
オアハカの伝統的な飲み方では、メスカルをストレートで飲みます。
テキーラでは塩とライムを添えて飲みますが、メスカルではオレンジと芋虫の粉と一緒に飲むのが慣習です。
もちろんカクテルにして飲むのも良いです。パロマや果実を使ったテキーラベースのカクテルを、テキーラでなくメスカルで作るのもおススメです。

【原産地呼称】
現在メキシコの9州
①オアハカ
②ドゥランゴ
③サカテカス
④ゲレーロ
⑤サン・ルイス・ポトシ
⑥タマウリパス
⑦グアナファト
⑧ミチョアカン
⑨プエブラ
がメスカルの原産地呼称として保護されており、964ヶ所の市町村でメスカルが造られています。

【よく使われるアガベの種類】
・Espadín エスパディン
・Tepextate テペスタテ
・Tobalá トバラ
・Cenizo セニソ
・Papalote パパロテ
・Sierra Negra シエラネグラ
・Jabalí ハバリ
・Agave Azul アガベ アスル

【語源】
「Mezcal」(メスカル)はナワトル語が語源です。
「metl」(マゲイ=アガベ)と
「ixcalli」(加熱した)という単語が合成されたもので、
メソアメリカの人々が食用としていた「加熱したアガベ」を意味します。

【歴史】
アガベは蒸留酒として活用される以前は長きに渡り神聖なものとされてきました。メキシコ先住民はアガベの中心部の球茎部「ピニヤ」を調理し儀式に使用していました。伝説によると、アガベジュースが最初に発見されたのは、稲麦がアガベに落ちそこからジュースが抽出されたことが始まりとされ、「神の飲み物」として知られる所以です。

【メスカルが出来るまで】
メスカルの製造工程は、銅または粘土製の単式蒸留器で二度または(時に)一度の蒸を行う前に、穴の中で木と(または) 木炭を使い熱した焼石を使い、およそ3日間かけてアガベをゆっくりと蒸し焼きにします。
今日、大手メスカル生産者の中にはより効率的な製造方法に転換しているところもありますが、依然として多くの生産者が、メスカルが知られる所以であるスモークフレーバーを生み出す古くから伝わるプロセスで生産を続けています。

【メスカルのクラス】
テキーラ同様、メスカルには100%アガベと、メスカルとラベルに記載されるが20%まで他の糖類を使用したミクストの2種類があります。

熟成期間と製法の特徴によって主に次のクラスに分けられます。

①ブランコ/ホベン BLANCO / SILVER
樽熟成期間2ヶ月未満の追加処理を施さない無色透明なメスカル。
シェアのほとんどを占める。

レポサドReposado
樽で2ヶ月以上1年以内熟成されたもの。
樽の容量規定は無し

③アニェホ/アネホAñejo
1,000ℓ未満の樽で1年以上熟成されたもの


【メスカル規制委員会】
メスカル規制委員会は、製造工程のあらゆるステージでトレーニングサービスを受けるため加入を希望するマゲイ・メスカル生産者、ボトラーズ、マーケターズらで構成される組織です。メスカルの真正を保証し、テキーラ同 様、ラベルに森習所を厳別するメキシコ公式 規格(NOM)を記載するブランドを規制しています。メスカルは原産地で瓶詰めすることが原則であり、またテキーラとは異なり、大量に輸出することはできません。


【辛いときにメスカル、楽しいときにもメスカル!】

“Para todo mal, mezcal, para todo bien, también.”

メキシコで有名なことわさであるこのフレーズはまさに、人々がメスカルを愛しているということを言い表しています。


【メスカルの日】
アメリカで制定された10月21日のNational Mezcal Dayに倣い、
日本でもメスカルの日が制定されています。

【メスカルを使ったカクテル】
・メスカリータ
メスカルを使ったマルガリータ。



豆知識
アガベは雌雄同株の単子葉・多肉植物です。雄株・雌株の違いはなく、一生に一度しか花を咲かせません。 完全に成熟すると種子を蒔くため「キオーテ」と呼ばれる花茎が生えます。これこそアガベが一生を終える直前の最も劇的な展開の瞬間です。

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