モルテン・シュルト=イェンセン合唱指揮マスタークラス (合唱指揮初心者の感想)

先日、モルテン・シュルト=イェンセン先生の合唱指揮マスタークラスを聴講しました。

今通っている教会音楽の学校でも合唱指揮の授業があり、モーツァルトのミサ曲の指揮を練習しています。しかし、昨年入学してから指揮を始めたため、おそらく本科の3年間だけでは教会音楽家の資格を取れるようなレベルに達しないだろうし、指揮だけでなく伴奏もやらなくてはならず、そうでなくてもオルガンやグレゴリオ聖歌や和声や声楽の課題に、仕事にと時間を取られ(フルタイムのサラリーマンなので)、指揮の基礎もなかなか勉強できない。でも、合唱指揮は音楽を教えること、音楽の学びの集大成であると痛いほどわかっています。それでとても苦しかった。

このマスタークラスを知ったとき、指揮を学ぶならレベルの高い人たちの中に身を置きたいけど、ついていけないだろうと思っていました。しかし、尊敬する大好きな教会音楽家が強く勧めていたので、思い切って行ってきました。

受講生はすでに合唱指揮者として活躍していて、彼らが準備してきた振り方でも十分伝わるのですが、腕の使い方や、手のひらの向きをちょっと変えるだけで合唱団はもっと歌いやすくなります。モルテン先生は「一番大事なシラブルはどこか」、「自分がやりたいことはできたかい?」と受講生に何度も確認していました。「Less is more」参加者は多分全員この言葉をメモしたのでは?

受講生は緊張していて手が震えている人もいました。自分自身の指揮のスタイルがあるので、あのような緊張の場でモルテン先生のアドバイスをすぐに反映させるのは難しいと思うのですが、それでも徐々にモルテン先生がイメージする指揮に近づき、ぴたっとはまったときには合唱団も聴講生もガッツポーズでした。合唱団も指導者ばかりで、みな受講生の気持ちがわかるので、会場が一つのチームのようでした。

思い切って行ってよかった。あの場でしか感じられない何かを得たし、たくさんの刺激をもらってきました。主催の柳嶋さん、谷さん、合唱団vocalconsort initiumのみなさま、コーラスカンパニーのみなさま、受講生のみなさま、そして聴講生のみなさま、本当にありがとうございました!私もたくさん勉強しなくちゃ。それが指揮に反映されて、合唱団に伝わるのだもの。頑張ろう!

動画聴講も可能です(期間限定)。
https://choruscompany.com/221123morten/
指揮者として活動している人、合唱指揮に少しでも興味がある人はもちろん、楽器をやっている人にもお勧めしたいです。合唱指揮者の身体の動きは合唱団にどう呼吸するかを示すものでありますが、楽器でも同じことが言えるのではないでしょうか。どんな楽器でも「歌うように」と言われるでしょ?自分自身を合唱団としたら、自分や自分の楽器をどう歌わせたい?自分が一番の指導者なのだから、モルテン先生の教えがヒントになるのではないかと思いました。

【余談】
ブラームスのAch, arme Weltは怒りと弛緩が繰り返される曲なのですが、
合唱団に怒りの時には怒って、緩むところは緩んでほしいと伝えるときに、指揮者の体勢のヒントとして前傾姿勢がありました。指揮者が前傾すると合唱団も気持ち的に前のめりになって怒った声になり、前傾を緩めて普通のポジションになると合唱団も緩んで、やわらかい声になる。ちょっとしたことで合唱団が大きく変わることに驚きました。モルテン先生が「みんなでやってみよう」と聴講生も立たせて、前傾姿勢をさせました。そのときの背筋や腰の筋肉の緊張を確認しながら「MJのSmooth criminalの有名な動きみたい」とテンション上がりまくりだったのですが(1か月前からにわかMJファンなので)、どこからか「マイケル・ジャクソン・・・」とつぶやく声が聞こえてきて、思わず吹き出してしまいました。そう思いますよね!

今回の課題曲は4つ。

マスタークラスの動画聴講に自分が割と映り込んでいるのですが、多分気にならないと思いますが、もし気が付いたら多分「あの服の柄はなんだろう」と思うかもしれないので。