見出し画像

EMANが堀田量子第8章を書いてみた

 この記事は、堀田量子の第 8 章と同じ内容を「私ならこういう感じに書く」という試みです。これを読めば理論の見通しが良くなって堀田量子の教科書を読みやすくなるかもしれません。数式に用いる記号は改変してあります。文体は「EMANらしく」常体にしておきます。

 今回は 8.4 節までと 8.6 節の内容を記事にしております。全ての内容を含んでおりませんのでご了承ください。8.5 節の内容は別の記事として公開しております。8.7 節の内容は後日、別の記事として公開しようと思います。

記事一覧に戻る

 それでは、どうぞお楽しみください!

連続量を扱う理論

 この章以降では粒子系の話をしていくことにしよう。ここまでの理論を少し拡張するだけで対応が可能である。粒子の位置や運動量というのは連続量である。ここまで説明してきた$${ N }$$準位系の理論の$${ N }$$を無限大にしてやればいいだろうか? そう簡単ではない気がする。連続というのは、どの準位の間にも別の準位が存在しているということである。可算無限と非可算無限(連続無限)という違いがあり、この二つには質的な違いがありすぎる。果たしてそのような単純な拡張でうまく行くものだろうか。

 この現実世界では準位の数が多すぎて、境い目が分からないほど細かくギッシリ詰まっているので、我々にとってはあたかも連続的であるかのように見えているだけかもしれない。この世界が究極的にはデジタル的である可能性はあるが、そのような証拠は今のところ見付かっていない。この章での議論は、現実の世界の空間が連続的であるのか、実は距離の最小単位があって離散的であるのかという問題に答えを与えるようなものではないので、期待し過ぎないように気をつけてほしい。

 しかし可算無限個の準位を用意してやるだけで、我々にとってはあたかも連続的に見えてしまうというようなことを説明する理論を用意することは可能である。そしておそらく世界はそうなっていて、我々はまんまと騙されているのではないかと私は思う。いや、憶測や感情が入り過ぎてしまった気もするのでもう少し保守的な表現をしておこうか。この章は、ここまでの理論をどう拡張したら連続的な物理量を扱うことが出来るのかという話である。

ここから先は

39,391字

¥ 390

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?