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奥義

私はキャリアコンサルタントとして学生の就活支援をしています。
職場では、その年度によって職業相談員とか求職者支援専門員とか支援ナビとか呼ばれ方が変わりますが、今年度は(専門分野等支援)が付きます。
これまでの学生との関わりの中で得てきた奥義をまとめてみようかと思います。

その1「迷子を迷子のままにしない」

この世代…とても素直でとてもかわいいです。そして迷子です。
どうしたら良いかわからなくなっています。
でも、いくつかの情報提供をして「こうやってできるよ、どうする?やってみるかい?」と問いかけると、「やってもイイなら、ぜひ!」と、とても素直に取り組みます。

失敗したらどうしよう。とか、どうしたら良いかわからないとは思っていても、やりたくないわけでは無いんだと確信しています。
やってもいいんだ〜と思ってもらうことがまずは第一歩で、そのためにカチンコを鳴らすのが、私の仕事です。

その2「大丈夫・大丈夫…」

イマドキの若い人。就活に限らずいろんな場面で「なぜしなかったの?」という問いかけをしたときに、「だって、していいかどうかわからなかったんだもん」という返答が多いのではないかと最近感じています。

していいかどうかわからないからしない…でも、やる気がないわけではない。
じゃあ、私はどうするかというと、こんなことや、あんなことをしていいんだよ。というメッセージを伝えます。
ちょっとやってみようかな…って思ってもらえばしめたもの。あとは「大丈夫、大丈夫」と言って見守ります。

大丈夫!やってみようよ!うまくいかなかったらちょっとずつ方向修正しながらいってみよう~!

決して「あなたが勝手に考えてやりなさい」ではないところがミソです。

もう20年位前になるでしょうか。そのころ朝放映されていた「フリズル先生のマジックスクールバス」という科学アニメに子どもと一緒にはまっていました。
スクールバスに乗って人の体の中や海底などいろいろな所を探検するといういかにもアメリカン~な番組でしたがものすごくおもしろかった。
そのフリズル先生の決まり文句が「失敗したっていいじゃなぁ~い。」というセリフでした。
私もフリズル先生みたいにど~んと見守る人になりたいと思います。

その3「腹を括らせる」

働くということは、ただ採用になって働き始めるのとは違います。
その仕事を継続し、自分自身が発展していくためには、腹の括りが必要だと考えています。

相談に来た若い人の話しを聞いていると、最初は自分に自信が無くて動けずにいます。

そんな方と相談を重ねるうちに⇒就活してみてもイイかも⇒こんな仕事もイイかも⇒応募してみてもイイかも⇒面接もだんだんなれてきたかも⇒この会社で働きたいかも⇒働きたい!

と、だんだんと腹を括らせて行きます。
それにはその人なりの期間と回数が必要です。
1社めで決まることはほとんどありません。
でも、働きたいという気持ちが心に溢れてくること、そして、あなたにうちに来て欲しいと自分を求めてくれる会社と出会えること…そのために必要な期間だと考えています。

その4「現実は突きつけない」

若い方の話を聞いていると、現実を知らないから言えるんだろうな〜と感じることは多々あります。
同じ仕事をしている者の中には、「なーに甘いこと言ってんだ〜?」とばかりに現実を突きつける者もいます。

ん〜
そりゃあ現実を知ることは大切だと思っています。
でも、知っていく過程はもっと大切だと思うのです。

自分で経験する中で出会う現実と向き合うか乗り越えるか受け入れるか、逃げるか…それは本人のものです。それを奪って結果だけ先に教えることはどうでしょうか?
転ばぬ先の杖となることが本人のためでしょうか?

私は現実に向き合っていく中で迷い、苦しんだ時に思い出して来てくれたその人をまずはよく来たね、と受けとめて行きたいと思っています。
そして、「あースッキリした、また明日からがんばってみます〜」と言ってもらえたら嬉しいです。

その5「時々は泣かせる」

相談に来る若い方の中には、一見やる気があり好感度も高い方がいます。反対に「まだ、就活するつもりはないんですけど」と最初にいう方もいます。

初回の相談ではなかなか自分を出せないわけです。まるで、お風呂にザブンと浸かる前に「熱くないかな、冷たくないかな」と確かめている感じでしょうか…
「このおばさんに全部しゃべってしまったら、怒ったり、説教されたり、拒否されたりするんじゃないだろうか?」そんな葛藤が手に取るように見えます。

大丈夫だよ。おばさんはそんな人じゃないよ~というメッセージをノンバーバルで伝えます。

そして、不安でパンパンになっている心のガス抜きのために、一度泣いてもらうと、すっきりするようで次の展開に進むことが多いです。

その6「ストーリーテラーであれ」

若い人たちは求人情報を見てもピンとこないことがあります。
そこには溢れんばかりの情報がつまっているのですが、文字情報が多すぎて、見ることを回避したくなるのかもしれません。
そして、イメージとして頭の中でつなげるのが難しいようです。

そんな時は、その人の頭の中にイメージが浮かぶように解説をします。
まるで脳みそに絵を描くように。

定期的な相談でそれを繰り返すことで、仕事をするイメージが、現実的な自分と結びつくようになると信じています。

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