いじめをした?された?②

沖縄へ修学旅行。

(いつもと違う場所だし、リカへ何か伝えられるかも)

旅行中はずっとナツミといた。
けど、頭の中はリカのことばかり。

集団行動で他にもクラスメイトがいる中、近くにリカもいる。
何かのタイミングで話しかけてみよう。

沖縄のキレイな海に来た。
海で皆んながはしゃいでる中、リカの近くへ。

「ねぇ、リカ。話したいことがあるんだけど」

「リカは何も無いよ」


終わった。
一瞬、糸がピンと張り詰めた空気。
話し掛けるタイミング間違えたな。

完全に終わった。

もうリカへの執着はやめよう。
相手が話す気ないなら、こっちだって!

意地の張り合いみたいになって、結局それ以上話さなかった。


✳︎

時は過ぎ、高校3年の鈴虫が鳴く頃。

他のクラスの女子とも関わりあったが、私の近くにはナツミがいて、クラスでも私とナツミが定着していった。

✳︎

あるの日、帰りの電車の中。

下校中。
1人で電車に乗り、車両との間にいたら、ワイワイ騒いでる女の子の声。

声がする方を見てみると、

あ!エリコ…隣にリカもいる。

気付いたけど、知らないフリしよう。
ホームに降りると、私の前には出口に向かって歩く2人。
何やらコソコソ話しながら歩いてる。

なんか嫌だな。

携帯いじりながら、改札口から外に出る。

(気分転換に公園行こう)

そう思って公園に向かおうとすると、後ろから私の名前を呼ぶ声。振り向くと、エリコとリカがいた。

(どういう状況?)

エリコから「ねぇ、話したいことがあるんだ!公園行かない?」と言われ、そのまま近くの公園へ。

(うわー何話すんだろう)

ドキドキしながら、ベンチに座る。

エリコ「リカが話しあるんだって」

私「どうした?」

リカ「…明日から一緒に学校行こう」

頭に石を殴られたぐらいの衝撃。

どうゆうこと?いままでの時間は何?
他に言うことあるんじゃないの?
無視してた理由は?

こんなこと言えないくらい頭が真っ白。
絞り出した返事が、

「わかった」

✳︎

家に帰ってからも頭が回ってる。
学校に一緒に行くくらい別にいいんだけど。
なんで急にそうなった?
リカに考えてることが全く分からない。
でもなんでだろう。本人には聞けない。

よし、エリコに聞こう!

✳︎

翌朝、駅にいつもの時間に待ち合わせをして、今まで無視されてたの?ってくらい話しかけてくるリカ。それに戸惑う私に、エリコがフォローしてくれてた。

教室に入ると、いつものようにナツミが私に笑顔で挨拶してくる。

「おはよー」

なんか、チカラが入らない。

その日から、少しずつ無視してた期間を埋めるようにリカが私に挨拶をしたり、話しかけてくれる。

最初はモヤモヤしてたけど、正直嬉しかった。

またあの楽しい時間が戻ってくるのかと思うとウキウキが止まらなかった。

✳︎

ある日エリコにリカがどうして話しかけてきたのかを聞いてみた。

「リカ、話したかったみたいだよ」

ますます分からない。
でも本人に聞けない。

✳︎

もうすぐ冬休み。

リカから話しかけられてから3ヶ月経つ。

この頃、リカとは1年生の時と同じようにプライベートでも遊ぶようになった。

教室内でも、私の名前を呼んで誘ってくれるリカ。素直に嬉しくて、リカに誘われるがままに着いていく。

頭の中がリカばかりになっていて、すでに【ナツミ】はいなかった。

ナツミはというと、元々名前の順で窓際に席があったので、ギャルの子達と一緒にいた。

誰かと一緒に居るなら私じゃなくても大丈夫か!って勝手にそう思ってた。

✳︎

冬休みが明けてから、ナツミが学校に来なくなった。

(具合悪いのかな?)

携帯に連絡しても返事がなかったが、数日後にナツミから連絡があった。

当時は今のように長文のメールが送れないショートメールだったので、電話とのやりとりだ。

ナツミ「心配かけてごめんね」

私「いいんだよ!大丈夫?」

ナツミ「大丈夫じゃない。…」

沈黙が続く。

私「なんかあった?」

ナツミ「あったよ。今まで一緒にいたのに、なんでリカちゃんといるの?私は何?もういらないの?」

あ、しまった。
ここにきてやっと気付いた。
私の行動でナツミを傷付けてしまった。

私「そんなことないよ!みんな友達だと思ってる!」

ナツミ「みんな?そんな良い子ぶって。どこでも良い顔してんのムカつくんだよ。それにそのお人好しの性格直したら」

固まってしまった。
何も言い返せない。

良い子ぶってない。
皆んなには仲良くなって欲しいって思ってたことが、人によってはそれがムカつくって思うのか。知らなかった。

涙が溢れてきた。

「ごめんね。」

それしか言えなかった。

ナツミ「もういい」

ツーツー…
切られた。

✳︎

数日後、もう少しで卒業ってところで、ナツミは退学した。

人の人生を台無しにしてしまった。
この一件で自分の中に深い傷に変わっていった。

良い顔ばかりしてるのはダメなんだ。
優しい過ぎるのもダメなんだ。

この言葉がずっと私の心を縛っていた。



✳︎あとがき✳︎

リカにいじめられた?
ナツミをいじめた?

いまだによくわかってないです。

ただ分かることは、私は人を傷付けてしまったということ。

リカとは時を経て卒業してから15年後に会う機会がありました。
私の結婚祝いを他の友達がしてくれることになり、そこに友達がリカを誘ってくれたみたいです。

せっかくなので、「そう言えば〜」な感じに聞いたら「昔の事なんて忘れちゃった!多分嫌な事言われたんだと思う〜はは〜」でした。

ちょっとモヤッとしましたが、私がリカに傷をつけた事に変わりはない。

リカにも「ごめんね」って15年の時を経て心から謝罪しました。

ナツミは、今でも会っていません。
風の噂では結婚して子供を産んだとか。
でも傷付けられた人には会いたくないでしょうね。

✳︎

よいアウトプットができました。
長文お読みいただきありがとうございました。

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