今日も僕らは胡座(あぐら)をかく
好きと言っても
ありがとうとしか返してくれなくなった日。
なんとなく察する予感は的中したりする。
好きかどうかがわからなくなった。
玄関先で言われた彼の気持ちはこうだった。
当時、東京の狭いワンルームで
8年付き合ってた恋人と同棲していた。
指輪と共にプロポーズされたのもあり
あとはこのまま結婚していくのだろう、、、と左手に光る指輪を見ながら
ぼんやり将来を思い描いていた。
彼は出会った頃から
何をするにも一番の優先事項が私になっているような人だった。
でも、それが過去形だと気付いた頃には
もう取り返しのつかないところまできていた。
好きかどうかがわからなくなった以外のはっきりとした理由は言ってはくれなかったけど、恐らく他に好きな女性が出来てしまったのだろう。
私と婚約破棄した3ヶ月後に
彼が別の女性と結婚した事を知った。
胡座をかいていた私に待っていたのは
婚約破棄とトラウマを抱えるほどの大失恋だった。
好きでいてくれる事に甘えて自分勝手に振る舞ってきたことを
その時ようやく気付いたのだった。
何て、傲慢な人間だったのだろう。
自分がしてきた数々の行いがとても恥ずかしく思えた。
今まで生きてきた中で、後悔してることがある。
それは、
大切にしなきゃいけない人を
大切に出来なかったことだ。
もう一度、ちゃんと姿勢を正して生きようと思った瞬間だった。
大切な人を、大切な毎日を
ぎゅっと抱きしめられる人は
それが当たり前じゃないと気付ける人なんだ。
そこにある当たり前に慣れてしまい
僕らはいつも胡座をかく。
この失恋の話を書くことも話すことも苦しくて、
今の今までずっと避けてたように思う。
こうやって文章が書けるまでに至ったのは
後悔や失敗を経て、
生涯を共にする素敵な人と巡り合えたからだろう。
この人が隣に居て愛情を注いでくれることを、もう当たり前だとは思わない。
これを読んでるあなたには
どうか正しい姿勢で生きていてほしい。
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