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ライトムーン王国物語1−9

(アルベール視点)

コンコン

「入れ」
「失礼します。…殿下、陛下がお呼びです」
「?父上が?」
今の時期に一体何の用だ?
「分かった。父上のところへ案内してくれ」
「かしこまりました。こちらです」

ーーーーーーーーーーーーーーー謁見の間
?宰相?

「御前失礼致します国王陛下」
「面を上げよ、王太子よ」
「はい」
「して、今日そなたを呼びつけたのは他でもない婚約者のことだ」
「婚約者…ですか?」
「うむ、そうだ。そなた、アルテミス公爵家に子女がおる事は知っておるな」
「はい。ですが、彼女は10年前にお亡くなりになられたはずですが…?」
「うむ、そうだったな。だが、それは表向きの話だ」
「!まさか!」
「うむ。恐らくそなたが考えてる事で間違いないだろう」
「宰相。彼女は生きているということで間違いないのですね?」
「はい、王太子殿下。娘は今も元気に暮らしております」
「このことをセシルは知っているのですか?」
「はい、知っております」
「そうですか。それは、良かった」
「それでだな。王太子よ。そなたの婚約者に宰相の娘を、と思っておるのだが…どうかの?」
「国王陛下がお決めになられたのであれば私はどんな事でも従います」
「他に好いている女性もおらぬのか?」
「はい。おりません」
「そうか…分かった。この縁談を前向きに進めよう」
「「はい」」
「ところで…宰相。そなたの娘は今も神秘の森の塔におるのかの?」
神秘の森…?
「はい。おりますが…陛下?」
「そうか…うむ。王太子よ。そなたとカールに今から5日間の休暇を与える。その間に神秘の森へ行き、その目で己の婚約者を見てこい」
「かしこまりました。陛下、1つお伺いしても?」
「何だ?」
「お忍びはどのような形でも良いのですよね?」
「うむ。そうだが?」
よし、言質はとった!
「そうですか。ありがとうございます。それでは旅の支度がありますので、私はこれで失礼致します」
「うむ。許す」
ーーーーーーーーーーーーーーー王太子 執務室
「グレン、今からアルテミス公爵領に行くぞ」
「今から!?そんな無茶な!大体仕事はどうするんですか!?」
「陛下が私たちに5日間の休暇を与えて下さったから大丈夫だ。それに、今日の分は終わっている」
「…分かりました。それで?その荷物や服装にしてるってことは冒険者の仕事もついでにするのですか?」
「あぁ。久しぶりにしようと思ってな」
「そうですか。それで?陛下は何と?」
「あぁ、縁談だったよ。と言ってもまだ話は出来ないがな」
「は?!縁談!?ですか!?殿下はその縁談を受けるのですか?」
「あぁ」
「何でまた急に?」
「そろそろ婚約者を作らないと周りがうるさいからな。それに相手は親友の妹だ」
「だから、受けたと?どんな美女が誘ってきても揺るがなかったあなたがですか?」
「あぁ、そうだ。ところで支度は出来たか?」
「え、えぇ」
「なら出発するぞ」


そうしてライトムーン王国王太子は城を去った。

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