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ライトムーン王国物語1−8

《》はアランがツェツィーリアの頭の中で話していること(念話)を表しています。
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ーーーーーーーーーーーーーーー10年後 ツェツィーリア 塔の中

「うーん…おはよう…アラン」
《おはよう!ツェツィーリア!》
「今日は何をする?」
《僕、ツェツィーリアと契約したい!》
「契約?」
《うん!念話できるってことは契約できるってことだから!ね?いいでしょ?》
「分かったわ。契約ね?」
《うん!そう!》
「ちょっと待ってね。えーと…我 望む。この者と契約を交わすことを。いつ、如何なる時もこの者と共にいることを」
《やったー!これで、ずっと一緒だね?》
《ふふ、そうだね》
《ねぇ、リア》
《ん?》
《お散歩行こう?僕の背中に乗せてあげるから》
《いいよ。行こっか》
《うん!》

ーーーーーーーーーーーーーーーーー神秘の森
《ねぇ、リア。歌って!》
《え?》
《リアの歌、大好きだから》
《分かったよ》
「♬〜」

《やっぱりリアの歌が1番だよ!》
《ふふ、ありがとう》

「さっきの歌は君が?」
「「!?」」
「えーと…そうですが…」
「!ガルルルルゥ」「……」
「…あの、どちら様ですか?」
「!!わ、俺たちは…」
「!失礼…ただの通りすがりの冒険者です」
「冒険者…ですか?」
「はい。最近ここら辺に魔物が多く出ると依頼を受け、来ました。あなたも早めに家に帰った方がよろしいかと…」
「そうですか。ご忠告ありがとうございます」
「ところで…そちらの成獣ですが…もしやフェンリルではありませんか?」
やっぱりそうなのかしら…?
「そうなの?アラン」
「ワウ!!」《うん!そうだよ!僕はフェンリルだよ!》
「フェンリルだそうです」
「「!!」」
「そうですか。あの、もし良かったら僕たちと一緒に来ませんか?」
「…すみません。それは、できません…」
「なぜですか?」
この人たちに言ってもいいのかな?
《だめだよ!リア。言っちゃだめだ》
《どうして?》
《だってこの人たちの気配、全く感じられなかった!フェンリルが気配を感じられないって普通の人間にできるわけないよ!!》
《でも、ご親切に忠告までしてくれたんだよ?》
《それは…》
《ねぇ、言ってみるだけ!いいでしょ?ダメ?》
《はぁ、分かったよ》
「…私はこの森から出てはいけないのです」
「…そうですか。すみません、無理を言いました」
「出てはいけないのは何か理由が?」
「!ハース!!」
「…それは…」
さすがに…そこまでは…
《言っちゃダメだよ?》
《分かってるわ》
「言えない?」
「はい…すみません」
「いえ、いいのですよ。こちらが勝手に聞いたので気にしないでください」
「はい…」
「それでは、私たちはこれで。外を歩く時はお気をつけください。いくら聖獣を連れているとはいえ、危険な事には変わりないので」
「あの、また、ここに来ても?」
「?えぇ、構いませんよ」
「ハース…」
「それでは、失礼しますね。お嬢さん」
「はい、お気をつけて…」
「ありがとう」

「なんだか不思議な人たちだったわね」

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