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ドラクルージュのシナリオ作成覚書

自分がどうやってシナリオを作っているかをまとめたものです。
かなり昔に書いたもの(2年ぐらい前)ですが、書いている内容的にも割とわかりやすいので残しておきます。
※実際にはこのシナリオは追加サプリメントが必須であったり、あまり初心者には向いてない内容かと思いますが、シナリオ作成のフローチャート的には参考になるでしょう。

1.シナリオのネタ作り
まず私は脳内で考えて「あっこれシナリオできるわー」ってなったら書いてます。
じゃあ脳内でどういうことを決めておくのかってことなのですが、

シナリオで何がやりたいか

シナリオの目的は何か

各幕はどういう場面にするか

ざっくばらんに言うとこの3つを考えています
で、今回の場合に置き換えてメモしておきます。

・シナリオで何がやりたいか
今回は「寵童のPCが活躍できるシナリオが作りたい」というコンセプトがありました。
PCで寵童の場合は騎士としてふるまうことになるので、騎士として寵童が出てきても違和感のないものを。
また、他のPCは正統派の騎士である方がよいだろうと思ったので、
「寵童のPCを他の騎士PCが助ける」という内容にしようという感じで決めました。

・シナリオの目的は何か
大体ここで考えるのは敵は誰にするか?ってことです。
何を倒せばシナリオクリアなのかという結末を考えるとともにシナリオの背景を固める感じです。
今回の場合は「寵童のPCが助けてほしいことは何か?」と言うことになるでしょう。
そこでNPCを設定していきます。
寵童のPCであるということは当然ご主人がいるわけですから、このご主人様をNPCにしましょう。
このままこのご主人様が悪い奴で助けてくれー!ってするパターンもありですが、今回はご主人様のピンチを寵童が救うというシナリオにします。
ここでもう一人のNPCはご主人様の友人である、ということにすれば関係性や協力関係が結びやすいのでここで大体HOの指定内容と何人シナリオかを大まかに決めてしまいます。

PC1
推奨の道:寵童
消えざる絆:主人NPC【主】
PC2
推奨の道:(未定)
消えざる絆:主人NPC【友】

で、ではご主人様のピンチとは何かを考えます。
今回は「ご主人様の近衛が謀反を起こそうとしていることに気が付いた寵童がそれを救う」ということにしました。
というここでここにもう一人ご主人様の近衛というNPCが生えます。
これで大体シナリオでやりたいことが固まりましたね。

・各幕はどういう場面にするか
ここで考えたいことは主に「終の幕」の敵を誰にするかということですね。
今回は上2つを決めた時点で「裏切られて闇落ちしたご主人様と戦う」と「裏切ったことがバレてやけくそになった近衛と戦う」と2つを思いつきました。
前者にすると寵童PCがあまりに可哀想な気がするので今回は後者にします。
とここで「戦の幕」と「常の幕」を考え始めます。個人的にはどちらかというと戦の幕が重要です。
というのも、前者のパターンだと近衛を戦の幕のエネミーに据えれば解決なのですが、
今回は後者なのでもう一つエネミーが必要です。
そこで、戦の幕を「謀反によって軍隊が乗り込んでくる場面」として設定することにしました。
気が付いたのに防げないんかいってかんじですがそれはそれだ。軍隊に対して少人数で攻防するシーンが見てぇんだ。自作なのでそこら辺は適当でいいんですよ。
で、常の幕は「ご主人様の城に到着して歓迎を受ける場面」として設定することにしました。
割と常の幕はどうとでもなるからいいかなって思うので優先度低いです。

ここまで思いついたら大体シナリオのあらすじは組み上がるので、
あとはデータをはめ込んで文章化すればいいということです。
6割ぐらいは出来上がったといってもいいでしょう。(たぶん)
今回はPCの立ち位置にフォーカスを当てたアイデアから転がりましたが、
「NPCでこれを出したい」とか「常の幕で〇〇をしたい」とか「〇〇をモチーフにしたい」とか何でもいいです。
割とPCのハンドアウトとかNPCとかはあとで調整することも多いです。

2.シナリオをデータ化する
ドラクルはテンプレートに当てはめて作れるのでデータに起こすのはそこまで面倒ではないです。
とりあえず
序の幕
常の幕
戦の幕
終の幕
後の幕
で章分けします。
構成を作っておくだけでなんか書いた気になりますし、埋めるべき場所が分かりやすいのでとりあえず作って思いついたところから書いていくといいと思います。
序の幕と後の幕は基本的にエピローグ・プロローグになるので、
描写が決まってるなら先に書いておいてもいいと思いますが私は面倒くさいのであとにします。
まず常の幕のデータを作りましょう。
幕の諸元は公式からテンプレをパクって作ってます。

●幕の諸元
>NPC種別
〔端役〕
〔脇役〕
>NPC配置
玉座:
宮廷:
庭園:
>存在点
>行動値
>壁の華
>絆奏
>終了条件

このテンプレを埋めればデータ完成です。

まずMAPに置くNPCとその種類を決めましょう。
悩む点というと今回のNPC2人を脇役と端役どちらにするかというところでしょう。
シナリオのメインエネミーである近衛は脇役でおくとして、ご主人様は端役か脇役を考えなくてはいけません。
ここは制作者がNPCにどれくらいの能力を持たせるかということになるかと思います。
正直この幕以降は近衛の方が優位になるのでご主人様を脇役にできるのはこの幕ぐらいなんですよね。
ということでご主人様も脇役にしましょう。
近衛は《陰謀家》、ご主人様は《優しき人》としてデータを設定しておきます。
端役は今回は寵童とメイドを味方役、喝采役として置いておきます。
端役に関しては常の幕は味方役置いて戦の幕は兵士役で基本的にはいいと思います。数は*PC数でおいておけばいいでしょう。

次に幕のエリアの様子を考えましょう。
今回は城の中なので玉座はそのまま玉座、宮廷は応接間、庭園は扉の外としておきましょう。
そのまま過ぎますが、思いつかない部分を悩んでも仕方ないのでこれでいいとします。
これを決めれば各NPCをどこに置けばいいか大まかにわかるでしょう。
御主人様と寵童は玉座、近衛とメイドは宮廷、庭園にもメイドを置いておきます。

次に脇役の存在点を決めます。
私の個人的な考えとしては、基礎点*PC人数で設定しています。
基礎点はPCが出せる点数が3以下だと5点、5~6だと10点ぐらいでいいと思います。
(が、たまにとんでもない威力を出すPCもいますので行いの内容を見てちょっと厳しいと感じたらもう3~5点ぐらい増やしていいです)
とりあえず1ターンで落とされない程度はほしいなぁと思うのでそのように調整しています。
今回は近衛もご主人様も基礎点5点ぐらいかな?と適当に設定。
あとこの脇役は退場させたくないという場合はわざと多めに盛っておくこともあります。
行動値は12~15*PC人数でお好みでいいと思います。ちょっと多くても使い切らなきゃいいしっていう。

壁の華は何か決まっていれば書いておきましょう。決まってなかったらアドリブでも。
絆奏は今回はご主人様に【敬】にしておきます。

終了条件は基本的に【2ラウンド経過する】でいいと思いますが、戦の幕は【脇役を壁の華にする】を入れておくことも多いです。
他に特殊な条件を設定することもありますが今回はなしです。

これでデータは埋まりました。

>NPC種別
〔端役〕
メイド(喝采役)
寵童(味方役)
〔脇役〕
ご主人様(優しき人)
近衛(陰謀家)
>NPC配置
玉座:ご主人様、寵童*PC人数
宮廷:近衛、メイド*PC人数
庭園:メイド*PC人数
>存在点
ご主人様:5*PC人数点
近衛:5*PC人数点
端役:1点
>行動値
ご主人様:12*PC人数点
近衛:12*PC人数点
端役:なし
>壁の華
ご主人様:寵童を連れて部屋に戻る
近衛:目を離した隙にいなくなる
>絆奏
ご主人様:【敬】
>終了条件
【2ラウンド経過する】

あとは備考という感じでNPCの動かし方やRPの例なんかをメモっておいたり、特殊なギミックがある場合はそれを書いておきます。
今回は近衛が何か企んでるっぽいこととご主人様がいいやつなんだよってことが伝わればいいかなってぐらいなのでメモをするかしないかは好みですね。
NPC用にまとめてメモを作っておいたり、台詞の例を書いておくのもよいと思います。

と、こんな感じで各幕のデータを作っています。
終の幕はPCも結構強いかつ脇役を倒さないと終わらないので2~3ラウンドぐらいで倒される存在点を設定しておくとよいかと思います。

3.エンディングを決める・各幕の描写を記述する
全部アドリブで済ますって人もいるかと思いますが私は全部書いておくタイプです。
(他人に見せてわかるようにしたいという精神が強いので)
少なくともどういう場面なのかとか人物の動きがイメージできる程度は書いておく方が回すときはいいかと思います。
とりあえずエンディングは決めておきましょう。
今回は近衛を倒して主人の危機を救ったらめでたしめでたしという感じです。PC1とPC2をご主人様が労う場面がいいでしょう。
近衛NPCを不徳の騎士として封じるか、見逃すかはPCの裁量に任せるということにします。
もし終の幕でエンディングを分岐させる場合はその条件とそれぞれのエンドの内容を明記しておく方があとから読んでもわかりやすいです。
ついでに導入はPC1がPC2の歓待に訪れるシーンにすると決めておきます。
ここでお互いに自己紹介をし、PC1が事情を話してPC2に協力を求めるという導入にしてから常の幕につなげる…という流れにすると書いておけば、
咄嗟でもある程度描写やRP指示が出せるでしょう。
いわゆるマスターシーンについては【口上】という形で描写することが多いです。
この書き方については公式のリプレイやシナリオを参考にした方がいいと思います。

4.NPCとハンドアウトの内容を決める
そろそろNPCの情報を埋めておきましょう。(場合によっては真っ先に決めることもありますが)
便宜上名前ぐらいは必要ですので二つ名と血統、今回のシナリオの背景ぐらいは考えておくとよいでしょう。
NPCは事前にPLに伝えていいことと、シナリオ中に明かす内容は分けてメモしておきましょう。

”香勾侯”ジュリアン・レスボス・フォン・ローゼンブルグ
レスボス領を治める領主であり、かなりの好事家で派手好き。
武勇には劣るが、社交的で親しみやすく、政治の手腕に優れることで名高い。
一見軽薄そうに見えるが、慈善的な面もあり、
身寄りのない子供などを寵童や侍従として迎え入れて教育を受けさせたりもしている。

”冷厳卿”マルク・プルートゥス・フォン・ヘルズガルド
ジュリアン侯の右腕として仕える近衛であり、軍隊長でもある騎士。
主君が寵童や侍従に入れ込むのを快く思っておらず「だらしがない」と感じている。
また、自らが武術の腕に優れることもあり、もっと野心的な主の元で名を上げたいと考える気持ちが強い。
そのため戦事が苦手な主人やPC1のことを軽蔑している節がある。

名前はカエサルとブルータスから取りました。
私はPCの名前はなんとなくイメージやモチーフ、シナリオテーマに合わせてつけています。
ここでジュリアン候に関しては慈善家で優しい人間である、マルク卿に関しては野心的な面があるという性格と、
それぞれ社交と武勇に優れ得意な分野が違うということを設定に入れておきました。
ジュリアンが優れた人物である方が、マルク卿の謀反を防ぐことに説得力が出るでしょうし、
二人の得意分野が違うことで、マルク卿が謀反を起こすための戦力を整えやすいという状況が作りやすいかなということで設定しておきました。

NPCが決まったらPCのハンドアウトの文面を決めます。また人数や役割を変更するかも考えておきます。
ハンドアウトは所謂事前情報なのでどんなキャラクターや立ち位置のキャラが欲しいか明確にしておく事を意識します。
まずメインの寵童役であるPC1。このPCにはマルク卿が謀反を起こそうとしているという大前提の情報を持ってもらうことが必要でしょう。
そして、今回は実はPC2の方が役割としては重要です。
PC1の協力者として、人が良いもしくは友情に篤い人物であることと、PC1に足りない、戦闘力があることが期待されるからです。

PC1
推奨の道:寵童
消えざる絆:ジュリアン【主】
貴卿はジュリアン候の元寵童であり、今は仕える騎士の一人である。
ただし、名義上叙勲を受け騎士とはなっているものの実際の役割に変化はない。
貴卿はその状況をどう思っているかはともかくとして、
ある日彼の右腕であるマルク卿が謀反を企んでいることを偶然知ってしまった。
しかし、主人に知らせたところで戦嫌いの主人と寵童である自分では太刀打ちできまい。
誰か協力者が必要だ。
そうだ、確か主人の知己に武勇に優れた騎士がいたはずだ……。
貴卿は大急ぎで報せの手紙を書き、彼の騎士をこの地に招くことにした。

PC2
推奨の道:狩人、遍歴
消えざる絆:ジュリアン【友】
貴卿はジュリアン候の友人、知己の一人であり、武勇に名を馳せた騎士である。
そんな貴卿の元にジュリアン候から手紙が届く。
何でも今すぐ会いたいとのことであった。
珍しいこともあるものだ。
軽薄な面のある好事家ではあるが、あれはあれでいいところのある友人である。
日頃世話になっている貴卿は疑問に思いつつもレスボス卿へと足を運ぶことにするのだった。

とまぁこのように書いておけば、PC1がどうしてPC2に助けを求めるに至ったのかの背景がある程度整理できるかと思います。
PC1やPC2の性格がどのようなタイプであるかはある程度自由にさせ、必要とされる立場や能力を明示しておくように意識しています。

5.全体の見直しや調整を行い、タイトルをつける
情報としてはこれで十分なはずです。
あとは上から下までを見直し、不足している情報や必要なギミック、RP描写などを補足したり、DRとして留意する点を書いておくことがいいでしょう。
今回は寵童を使うのでストーリアを所持しているPLに限定することを留意する必要があると思います。
ただ、持っていないPLの場合は賢者や僧正のような道で代用できるかもしれません。
このように調整が必要な面などを考えておきます。
また、タイトルも決めておきましょう。先にタイトルを決める人もいればあとで決める人もいますが私は大体1の時点で考えます。

6.テストプレイを行う
さて、ここまで来たらあとは回すだけです。
PLをお誘いしてさっそくプレイしましょう。
その際にエネミーの強さや弱さ、情報出しのやり方などを確認し、PLから感想を貰いましょう。
ドラクルージュは組み方によってはかなりPCの火力が上がるので調整はアドリブが必要なこともあります。
(純粋に存在点と行動点を増やしておけば基本的には大丈夫です)
また、PCの内容によって描写などに変更を加えたり、NPCに設定が追加されることもあります。
意外と考えていない背景まで尋ねてくるPLもいるので背景設定はできるだけ考えておく方が矛盾のないシナリオになるかもしれません。
(と言いつつ私は考えてないところは考えてないですと言ってしまう)
ドラクルージュのシナリオは割と簡単に作れるので皆さんお気軽にチャレンジしてみてください!
良き常夜国ライフをお送りください。


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