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ノダメ事件簿

2008年頃のお話です。
頭が軽やかな若き正社員さん(仮名:ノダメ)の事件簿です。

1.ノダメちゃんの接客態度が悪かったのでお客様Aが怒り出し

2.彼があやまり方を知らないばかりにお客様Aの怒りがエスカレートし

3.周囲の罪のない親子連れがビビり

4.それを見ていた別のお客様Bがお客様Aに対して怒り出し

5.最終的にはお客様同士の殴り合いとなり警察まで来た

……という騒ぎがあった。

ノダメちゃん、顛末の報告書と始末書を書いたとか。

そして店長が休みの今日、また事件が起こりました。

朝、かかってきた電話にベテランバイトさんが出たと思し召せ。

傍で聞いていると、同じことを何度もくりかえし言っている。
どうやら話の通じない相手のようだ。

そしてバイトさんは、ノダメを呼んだ。

「店長を出せ。いないなら社員を呼べ」
みたいな会話があったのだろうと思われる。

しかし、ノダメちゃんは言葉の使い方を知らない。
丁寧にしゃべろうとすればするほど、ボロが出る。
いったい何度、自分自身に敬語を使ったことだろう。

「それはちょっと、おわかりにならないので・・・」
と言い出したので、そばで、
「『わかりかねます』!!」
とささやくと、
「わかりかねますので・・・」
と言い直している。

ネーチャンと同様、同じことを何度もくりかえしている。
これはおそらく、電話の相手も理解力がないのだ。

そうこうしているうちに、ノダメはいきなり電話をガチャンと切った!
相手が話している最中なのに、途中で切ったのだ。

彼は時々、こういうキレ方をする。
でも、これは接客業が客相手の電話でやっちゃダメだよ。

相手がワケわからないならわからないほど、こちらは、きちんと周到に対応しなければいけないのよ。
ツッコミ所を作ってどうする。

数時間後、総務の偉い人から電話がかかってきた。
電話口で、叱られてあやまっているノダメ。
事情を説明する要領も悪い。
また自分に敬語を使っている。

そして、気が弱い人にはありがちなんだけど、一番まずいことをしている。

真実をありのままに語らずに、自分に都合の悪い部分を隠したまま説明している。
つまり、
「話の途中で、いきなり電話を切った」
ことについては、隠したまま話を進めているわけ。

バカだなぁ・・・・・。
あやまる時には、全部話してあやまらなければ、また別の袋小路へ、自分を追い詰めるだけなのに。

明日、店長が電話の相手に、お詫びの電話を入れることになったそうだ。

でも・・・ノダメが事実を隠しているのに、ちゃんとうまくお詫びができるのだろうか。

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