バーコード改め……
2008年頃の話です。
バーコード親父改めアフ〇ック親父と命名します。
この親父さんが、ある日の夕方、ちょうど店長が休憩中で、私一人しかいない時に来ました。
この人、
「この本、取り置きしといて」
と、何冊も預けっぱなしにして、2ヶ月も、3ヶ月も買いに来ないで、あげくの果ては、
「やっぱり、これキャンセル」
とか言う人です。
その、〇フラック親父が私一人の時に来て、本を3冊、レジにぽんと投げて、
「これ、取っといてね」
と言ったのだ。
こういう時、念のために、一応、いつ頃、取りにいらっしゃれるかをお尋ねすることにしている。
いついつまでも、置きっぱなしにするわけにはいかないから。
「ご来店のご予定はいつ頃でしょうか?」
と聞くと、
「う~ん……1週間後!」
と言う。
「では、1週間以上、ご来店がない場合は、棚に戻しますので、ご了承ください」 と言うと、 「棚に戻さなくっていいんだよ! 取っておいてよ!」 と言う。
何言ってんの。 「買いに来ない場合は棚に戻す」 って言ってるだけでしょ。 買うんなら戻さないわよ。
「キャンセルなさったこともおありですから」 と丁重に言うと、 「ぼく、いっつも買ってるじゃない。キャンセルしたことなんか一度もないよ」 と言う。
本気で忘れているのかなぁ……???
「取っておいてね」 とキープした本を、 「やっぱりこれ要らない」 と言ったことの方が多いのに。 まともに買ったことの方がよっぽど少ないのに。 「今日中に買いに来る」 という週刊誌を、1週間以上取りに来ないで、返品期限が過ぎたから返品したら、3週間もしてから、 「買おうと思ってたのに」 って言ったよね。
取っておけるか、そんなん!
しょうがないので、 「では来週までお預かりしておきます」 と言ったんだけど。 どうやら、アフラッ〇親父さん、ちょっと機嫌が悪くなったらしい。 怒っちゃったらしい。 本屋の店員に、しかえししたくなったらしい。 ぎゃふん(死語?)と言わせたくなったらしい。
10分後、おもむろに戻ってきて、 「悪いけど、さっきの本、棚に戻しておいて」 と言うので、 「はい」 と一応返事をしたら、 「他の店で買うから!」 と、素敵な決めゼリフを残して去って行った。
う~ん、決まった、決まりましたよ、親父さん。 カッコ悪さ全開です。
あら~、お客さん一人、のがしちゃったわ、なんて誰も思わない。 取り置きだけしといて、買わない迷惑な人、 来なくなってくれた方がありがたいんだもん。 他の店で買ってください。 でも、他の店で果たして2ヶ月も3ヶ月も取っておいたあげくに、 「やっぱり要らない」 なんて言うお客さんを、ありがたがってくれるでしょうか。 そんな本屋、そうそうないと思うよ。 むしろ、うちはそうとう我慢強い方だと思うけどな。 とにかくもう来ないでくれるらしくて、とてもありがたい。
思わず、証拠をさがしたくなって、タイムカードを押した後で、勝手に残って、過去3年間の客注伝票を調べて、彼のキャンセル歴を捜査したのだが……全然ない。 つまり 「取っといて」 だけで終わるから、 客注伝票を書くまでもなく、ただのメモ帳に、「アフ〇ック様おとりおき」と書いて、数ヶ月放置されるパターンが多いってことよね。 そもそも、これじゃお客様でもなんでもないじゃん。 むしろ、出しておけば売れる本を、棚からはずしたしたあげくに、要らないと返すんだから営業妨害だ。
くだらない悪意に触れて、またちょっとへこんだ。
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