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敵意のない相手を攻撃する人

2008年頃の話です。

本を入れる手提げのビニール袋の中には、広告が入っていることがある。

これは本屋がいちいち、その都度入れているわけではない。
袋が備品として箱で届いた時から、つまり最初っから入っている。

これはスポンサーである。

ジャマなのはわかる。
でも「広告捨ててください」と言ってくれればすむことなのに。
そう言われれば、すぐに捨てるのに。

今朝、一番で週刊現代を買って行ったお客さん(推定50代中盤の女性)ものすごく嫌そうな顔をして(今、表情を真似て顔を歪めています)「要らないわよ、こんなの!」と、吐き捨てた。
この言い方のニュアンスが、文字で伝わらないのがもどかしい。
とにかく、その一言で私はいたく傷つき、数時間は立ち直れなかったという言い方です。
さらに、
「お金払ってるのに、なんでこんな‥‥‥‥」(『広告を押し付けられなきゃいけないの?』と言いたいらしい)

厳密に言えば、それは違います。

あなたが払ったそのお金は、本の代金です。
それを入れる袋は無料です。
なぜ無料なのかというと、その広告が入っているからなのです。

2020年現在、レジ袋が有料になりました。

今の時代なら、こんなクレームはなかったでしょう。(別の形のクレームはあるかもしれないけど)

だから、どんなに嫌な声で、「要らないわよ、こんなの!」と言われても、あらかじめ、こちらで抜いて捨てることはできないのです。
スポンサーだからね、店として勝手に捨てるわけにいかないの。

でも、お客様が、
「これ要らないから捨ててください」とおっしゃれば、すんなり抜いて捨てることができますよ。

あなたが個人的に要らないからという理由で、
袋に広告そのものを入れるなというのは不可能です。
「要らないわよ、こんなの!」と、どうしても言いたいのなら、それは広告を出している会社に言っていただきたい。

「本を入れる袋1枚につき、いくばくかのお金を払ってもいいから、
 ジャマな広告を入れるのはやめてほしい」と。

ほら、官製はがきでもあるじゃないですか。
エコーはがきというのが。
広告入りは安いんですよ。

広告入りの無料の袋と、広告のない有料の袋と、お客さんが選んでくれれば楽なんだけど。

要らないわよ!と広告を見ただけで怒る、あなた一人のためだけに、すべての広告を抜くことはできません。

聞いた話によると、
「なんだ、今日は通信教育のチラシ入ってないの?」
と、残念がるお客さんもいないわけではないそうです。

カバーと同じでね。

「要らない、要らない、紙の無駄!」と怒る人もいれば、
「ちょっとぉ~、カバーぐらいかけてよぉ」と文句言う人もいる。
それぞれの言い分や希望が相反するのだから、
いちいち個人的な好みを、その場で主張していただくしかないのだ。

それが一番手っ取り早い。

いろんな人がいるんだから、
あなたの言い分だけを聞いて、一貫させるわけにはいかないのです。

お互い不愉快になるだけだから、第一声から怒るのやめませんか。
それ、相手を人間扱いしてないですよね。
そういう態度を取って、気持ちいいのですか。

12年目にして最近思う。
向いてないのかなぁ、接客業。

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