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難読漢字

2004年11月某日。

近くの女子高校生軍団がやって来た。
夕方は、女子高生タイムなのだ。

わりとかわいくておとなしめの女の子が、
「本を取り寄せてほしいんですけど」
と言って来た。

私は「題名をどうぞ」と言って、客注伝票を用意して書く準備をする。

「あの~、すごく難しい字なんで書けないと思うんですけど……」

大丈夫よ。
ちゃんとカタカナで検索して、在庫の有無を調べてから注文するからね。
でも、すごく難しい字ってどんな字?
どんな本?
あれこれ想像が頭を駆け巡る。

「『ほうしんえんぎ』っていう本の4巻なんですが」

……。
ジャンプコミックス。

おばちゃんはね。
漢検の級とか持ってないけどね。
(今度受けてみたいとは思ってるけどね)

「封神演義」ぐらい書けるよ!!!
そもそも商売で扱っている品物の名前なら、漢字が苦手な人でも知識として書けるものだ。

すごく難しくて書けない字って、どんだけ難しい字かと思ったよ。

封筒の「封」でしょ。
(手紙書くの好きだった)
神谷明の「神」でしょ。
(神谷明さん、好きだった)
演劇部の「演」でしょ。
(演劇部だった)
仁義礼智信の「義」でしょ。
(『お荷物小荷物』大好きだった)

「封神演義」が、すごく難しいだなんて高校生ってそういうもんなんでしょうか。

それとも世間のおばちゃんというものが、無知だと思われてるだけなんでしょうか。

いや、ちょっとおもしろいやりとりでした。

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