エストラーダvsロドリゲス メキシカンとヒスパニックのボクシング

注目のビッグマッチ。
訪れた新旧対決。
ただ彼らの場合、新旧と言っても年齢だけには限りません。
私がこの試合に注目したのは技術の新旧対決です。

もちろんエストラーダの技術が古いという訳ではなく、トラディショナルなメキシカンスタイルということです。
メキシカンの中では優れたテクニシャンではありますが、一方で怖さの無いボクサーといった印象です。

また、個人的にはエストラーダはローマン・ゴンサレスとの2戦目も3戦目も勝ってないと思っていますし、コルテス戦ではパフォーマンスもコンディションも上がっていませんでした。
それらを点で繋ぐと今回の試合には不安が拭えません。

一方でロドリゲスは前回のサニー・エドワーズ戦が年間最高試合クラスの好試合でしたので、今回の転級初戦でダイレクトに世界戦というところでもモチベーションが高いでしょうしパフォーマンスもコンディションも良いものになるだろうと予想しました。

そしてロドリゲスはロマチェンコのようなサイドステップで相手の前から一瞬で消えて、数多くのアングルを作れます。
まだ多くの対戦者がこのステップに対処できていません。
そこからのパンチの種類も多彩でボクシングに立体感がありますね。
エストラーダとは機動力と上体のムーブも対照的です。

そして、今この2人が戦うとどうなるかは分かっていたので、いつものように自己採点はしないで観戦しました。

それでも井上vsネリを彷彿とさせるサプライズがあり、その後はエストラーダのパンチが当たらなくなり、反対に被弾が増えてむしろ試合の終わりが近いことを予感させました。

ラストは見事なボディブローのカウンターでしたが、ボディでKOというのはエストラーダがこのレベルの試合を去る理由になると思います。
全体的に反応がルーズで敏捷性を欠くエストラーダにはブランクと斜陽の両方が如実に感じられました。

アメリカ生まれのヒスパニックがアメリカでボクシングを習得した成功パターンのひとつがジェシー・ロドリゲスだと思うんですが、対戦相手に恵まれればますますその能力を発揮するでしょうね。
中谷潤人と‘ヒスパニック’対決をしたらどちらが勝つだろうと思っていましたが、今は一階級以上に開きを感じるのでもう実現は難しいかもしれません。。

ロドリゲスの軽量級のスター選手としてのこれからのキャリアが、この日のように観る者に喜びを与えるものになることを期待しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?