ウミガメのマイクロプラスチック摂取状況について
海洋汚染、特にプラスチックの問題が何かと話題ですね。ウミガメの鼻にストローが刺さっていた事例から、ストローが問題になったり、今年からレジ袋有料化も始まったりして、より世間の注目が集まっています。
ウミガメのプラスチック問題については、実はちょっとした誤解があるのですが、ここでは置いておいて、今回はマイクロプラスチックの話しをします。
マイクロプラスチックとは、基準がいくつかあるようですが、5mm以下のプラスチックというのが一般的なようです。プラスチックが劣化してマイクロプラスチックが生まれる場合(「二次マイクロプラスチック」という)と、マイクロビーズやレジンペレットなどもともと小さいサイズのプラスチックを作り出した場合(「一次マイクロプラスチック」という)の2種類があります。
この写真は、茨城県の海岸で撮影したものです。このように劣化によって細かくなったのが二次マイクロプラスチックです。緑色の円いのはペットボトルキャップなので、大きさがなんとなく分かりますよね。
このマイクロプラスチックは小さいので、小さな生物が摂取してしまったり、食物連鎖でさらにそれを食べた大型の生物に濃縮されてしまうなど懸念されています。海洋プラスチックは海の中にある毒素を吸着してしまうということで、それが人間含め生物の体内に入ってしまうことが特に問題視されています。毒素の影響についてもそうなんですが、マイクロプラスチック自体もまだ比較的新しい問題なので、世界的に実態把握の調査がまだまだ追い付いていない状況です。
ELNA では、3年間の助成金を得て、ウミガメの糞に含まれるマイクロプラスチックの摂取状況について調べています(2020年現在2年目)。ウミガメのマイクロプラスチック摂取状況は少し論文出ていますが、まだ数本しかなく、日本ではまだ報告がありませんでした。そこで、2020年10月号の「海洋と生物」にて1年目の研究報告を掲載いただきました。表紙にも2番目に大きく取り上げていただきました。
マイクロプラスチック自体は分析機関に依頼し、分析してもらいました。千葉県と小笠原に来遊したアカウミガメとアオウミガメ計10頭を調査し、マイクロプラスチックは全頭から出てきました。
上の写真が出て来たマイクロプラスチックです。よく見えるように、ここでは大きいものを選んで掲載しましたが、実際は1mm以下の破片が多かったです。
そもそもウミガメはプラスチックなどのゴミをよく餌と間違えて食べているので、マイクロプラスチックが検出されたことはそんなに驚くことではないんです。が、ウミガメの種類によって出て来たプラスチックの傾向が違っていたのが興味深かったですし、また、ゴミを誤食していないウミガメからもマイクロプラスチックは検出されたので、その確認ができたのも良かったです。
ご興味ある方は是非、雑誌をお手に取っていただければと思います。生物研究社にて販売しています。
引き続き、調査をし、3年間の結果をまた公表できればと思っています。
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