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学生時代の合唱の思い出

学生時代はそれほどでもなく、大人になってからじんわりと好きになる曲がある。音楽の合唱曲だ。今日は記憶を中学時代までさかのぼることにする。
あまり楽しくなかった学校生活の一片にきらっと輝く思い出の話。

学生生活の一つの登竜門「クラス合唱」

中学時代というのはなんともな時代で特に男子でまともに合唱を歌う人が少ない。まあでも、思春期の男子なんてそんなもんでしょ?今から思えば声変わりとかもあったのかもね。

私の当時の在籍校には文化祭でクラス合唱をしなければならなかった。課題曲を選んで歌ってクラスで発表する。たったそれだけの学校行事だけど、それがまためんどくさいの種。だってクラスの男子たちは練習をしないまではなくてもまともに歌の練習をしてくれないし…。当時の自分には「一緒に練習しよう」なんて呼びかけるやさしさもなく「全然練習してくれないなー」で通してしまっており、当然楽しくなかった。

期間限定合唱団

その一方でその学校には「期間限定合唱団」というものが存在していて、文化祭の少し前に結成され、文化祭で一曲歌うとそのまま解散するという。授業とも部活ともクラブ活動とも異なる合唱団なので音楽の先生が適当にメンバーを見繕ってきたり、私のように「吹奏楽部だから」という理由だけで入れられたりしたメンバーもいたけれど、基本「音楽好き」なメンバーなので参加者はみんな一生懸命練習してくれる。その期間限定合唱団の特長の一つがメンバーのバランス。その合唱団では男子は3名ほどしか在籍していなかったけどすごく一生懸命歌ってくれる。そしてめっちゃ上手い。そんな上手いというか一生懸命歌う男子たちがどこにいたの??と思うくらい。女子がソプラノ、アルトでそれぞれ6-7名いる中で男子は3名。
舞台に登場するとまずは観客からざわめきが起こる。「え?どういう人数比?」と動揺が走る。でもそんなこと自分たちは気にしない。
そして歌う。歌えば問題なく合唱が成立する。
私の母校ではだいたい男女半数くらいずつのバランスだったから合唱をすると、女子がソプラノ、アルトに分かれて歌うバランスが普通だけど、その期間限定合唱団はとてもアンバランスな人数差で歌う。合唱団の自分たちが舞台に上がるとそのアンバランスさに客席からの動揺が伝わる。だから初めて期間限定合唱団を聴く人は見た目の人数のアンバランスさとアンバランスさを感じさせない合唱に圧倒される。そしてみんなが一生懸命歌うことがちっともかっこ悪くないということを教えていたと思う。
当時YouTubeとかTwitterがあったらまあまあバズるレベルだったのではないのか、と。(年がバレますな)

合唱団の男子メンバーたちとはクラスも違うし、ほとんど口をきくこともなかったけど、一緒に一生懸命練習してくれるだけで十分うれしかった。

期間限定合唱団は前述の通り、文化祭で歌うと解散する。
後から聞いた話だけど、文化祭のアンケートに残るのはたいてい学生からも保護者からも期間限定合唱団へのメッセージだよ、と先生からこっそり教えてもらったことがある。

時を越えてエールを

期間限定合唱団に参加していた男子たちは一度も同じクラスにならなかったし、正直名前も忘れちゃったけど、きっと今はどこかでいいお父さんをしているんだろうなと思う。奥さんや子どもたちは中学時代のお父さんの勇姿を知っているのかな?もしどこかで会えることがあれば「あのときの君たちは本当に素晴らしかった」と改めてエールを送りたい。

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