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【詩作日記】「異国の出来事 / 地平線」

「地平線」

アクサライからコンヤに向かう途中
右手に地平線が続いていた
広大な原野の向こうは
空しか見えなかった
地平線が
なだらかなカーブを描いて
目の前に横たわっていた

スルタンハヌの村に入ると
地平線は姿を消したが
煉瓦を積んで土壁を塗った家が並び
その間を羊たちが
走り回っていた
しかし
村を通り過ぎてしまうと
再び地平線が見えてきた

中央アナトリアの真ん中で
果てしない地平線を見た
希望は地平線の向こう
そんな気障な言葉か似合っていた

あまりにも素朴な風景を前に
飾り立てた心の何もかもが
意味をなさない事に気づいた


「地平線」 詩集「異国の出来事」より
1997年コンヤに向かうバスにて 2021年再推敲

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