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【詩作日記】「異国の出来事 / 絲綢の道」

「絲綢之路」

絲綢之路を
両足で踏んだ
故郷から遥か遠くの
アナトリアの大地
遠い異国の空の下

この路が祖国に向けて
行商人を導いていたことを
何百回聞いたり読んだりするよりも
自分の両足で立つことで
はるかに実感できた

絲綢之路はとても力強かった
両足で踏みしめて初めてわかった
どんなに遠くにいても
この見上げている空は
続いているのだと

東の方角をじっと見据えて
大きな息を一つゝいた
故郷で微かに感じたことのある
香りにふと触れたような気がした
途端に風が懐かしく愛おしく思えた

絲綢之路は
優しかった
温かかった
両足で踏みしめたその時
感動がこみ上げた

しばし目を伏せ
路の歌に
耳傾けていた
懐かしくて愛おしい
風が吹いていた

「絲綢之路」 詩集「異国の出来事」より
1997年ユルギュップに向かうバスにて 2021年再推敲


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