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【詩作日記】「異国の出来事 / コンヤ」

「コンヤ」

子ども達が
バスに向かって
物売りをしている
同情をそゝられながらも
笑顔で断る

冷たい風が
とても身にしみる
こんなに寒いなんて
思ってもいなかった
ちいさなミニバスが
町中をどこへともなく走り
その兄貴分の乗合バスが
せわしなく人を運んで行く

コンヤは古の街
女性はスカーフで頭を隠し
その雰囲気は回教の戒律通りで
まるでイスタンブールとは違う街
中東の風漂わせ
その冷たさが
意外にさえ感じられる

女物の大きなスカーフを
ポンチョ代わりに纏いながら
コンヤの街のメブラーナ博物館へ向かう
冷たい風に慣れているはずだった
それでも衣一枚の安らぎを
求めずにはいられなかった


「コンヤ」 詩集「異国の出来事」より
1997年コンヤにて 2021年再推敲

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