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【詩作日記】 「異国の出来事 / 雨のイスタンブール」

「雨のイスタンブール」

初めてのイスタンブールは雨だった
空港から旧市街への道は
どことなく殺伐とし
右手になんともこの国を物語っている
ジャパン・カフェという名の店が
雨に打たれていた

モスクワと違い看板が多いが
それがなんの看板なのか
見当も付かない
やっぱりこゝは
遠い異国のイスタンブール
我先にと車が流れ込む
活気に満ちた坂の多い街
冷たい雨が冷たく感じない
そんな雨のイスタンブール
エザンの不思議なメロディと
行き交う車の流れ
こゝはいったいどこなのか
居ながらにして考え込んでしまう街
何もかもが初めてのことばかりで
思考がどうしても追いつかない
思考が纏まっていくそばから
すべて雨の中流されて行く
やっぱりこゝは
遠い異国の
イスタンブール


「雨のイスタンブール」 詩集「異国の出来事」より
1997年イスタンブールにて 2021年再推敲

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