2020年 好きボカロ曲紹介

あけましておめでとうございます。エリーと申します。もう2月ですね。この記事、三が日中に出す予定だったのに気づけばかなり遅れてしまいました……。今更ではありますが、2020年を振り返って、好きだったボカロ曲(広義)について語っていきたいと思います。
Twitterなんかで #2020年ボカロ10選 のタグでつぶやく方が主流ではあるのですが、何分聴く気分になったときに適当にボカロを聴く怠惰のボカロリスナ―故、2020年の曲をまだ聴き込めていないし、無理やり10曲を並べても「これはホントに10選なのか…?」と納得できません。それでもまあ、2020年に聴いて「は??これ良い……。」となった曲はみんなに知ってもらいたいという思いと、あとは自分の備忘録もかねてこのnoteを書いています。したがって皆知ってそうで自分の記憶から抜けてしまうこともなさそうな超有名曲は好きでも入れてなかったりしています。とかいいつつ殿堂入り曲たくさん入れているけど。
また音楽知識も語彙力も、曲の感想を書き記した経験もないので、「好き」「良い」の繰り返しばかりになっていることには目を瞑ってください。
ちなみにこのnoteは、しるばーさんに触発されて書いています。彼女のnoteも是非。ってか好みがかなり近いので数曲被ってるんだよな…。

ではまず1曲目から。順番は好き順とか関係なく適当です。

1.うなるな/うみゃ

うみゃさんの3曲目。音街ウナの楽曲で、タイトルをはじめとして、Bメロの「この街には音が多すぎただけなので」というフレーズや、サビの「失ってしまうな」「振り切ってしまうな」というフレーズなど、いたるところに彼女の名前が入っているのが特徴的です。ウナイメージソングというと元気な曲、という固定観念があったので、この曲にはかなり衝撃を受けました。
この曲の何が好きかというと、まずウナちゃんの少し不安定で切ない感じの声ですね。こういう幼い感じの声で少し暗めの雰囲気の曲歌わせるの、ほんと良い……。あとはこのリズム感も推しポイント。サビが繰り返す感じになっている部分が、たいへん耳に心地よいのですよ。

2.みんなの謎なぞ/100回嘔吐

歌愛ユキとflowerという珍しい組み合わせの100回嘔吐さんの楽曲。前作の『ごめんごめん』もわりと好きで、「これ100回嘔吐1選だな」と思ったら、速攻で塗り替えられました。『ごめんごめん』にしろこれにしろ、サビで同じフレーズ繰り返しながら畳みかける曲は軽率に好きになっちゃう。中毒性がやばい。あとは幼い声で激しめな曲歌わせるの良い……。単に幼い声が好きなだけな気もしますが。
加えて、最初はリズム感にばかり気を取られてしまいますが、歌詞もいいんですよね。みんなの価値観なんて違う、すれ違ってしまうんだ、ということを少しの問いに対して無数の答えを出す、という形式で表すの、天才じゃないですか???かつ一つ一つの問いが結局のところ自問自答でしかなさげなのが、堂々巡りというか、一人で悶々と悩み続ける姿が想起されて、ついつい共感してしまいます。

3.水時計/ ____natural

2020年、色々と話題になったAIきりたんを使用した、 ____naturalさんの過去作のカバー。同様にAIきりたんでカバーされた『KBZ』を気に入り、フォロワーさんに ____naturalさんのおすすめを聞いてみたところ教えてもらった曲です。元々『AR都市TO幻KYO』が大好きだったのに、なんでこれまで追いかけてなかったの?とめちゃくちゃ後悔しました。
のびやかに歌うAIきりたんと機械音っぽさの強いテトさんってミスマッチじゃない?と思うなかれ。力強い調声のテトさんに負けじと声を張り上げるきりたんの声の重なり合いが最強にいいです。あとはワードセンスが素敵ですよね。「あなたも私も流体 きっと流体、いつか流体」のフレーズ、意味を解釈できるかは別として、切なさを感じて好きです。

4.星命学/Noz.

Noz.さん初の殿堂入り作品。まず力強い鏡音リンの声が大好物なので、そこだけで100点あげたい。
基本的に曲の好みはメロ重視なのですが、この曲は私にしては珍しく歌詞、特にサビの部分に撃ち抜かれました。「誰かに 奪われた人生の後先に 還るべき星が有りますように。」のところですね。歌詞を通して解釈すると、恐らく、愛する人を亡くした歌なのですが、その死は「誰かに奪われた」わけなんですよ。「兵器」等のワードも出てくるので戦争の時代に翻弄された故の死かな。そしてそれに対する「還るべき星がありますように」。人生を半ばで、しかも他人により絶たれてしまった愛しい人に対して、魂が還ることを願っている。世界や運命に対する嘆きの歌でありながら、それでも受け入れて祈りを捧げるレクイエムでもある。いや、これ、切なすぎません??心にずっしりと響いてくる良曲です。

5.命ひとつしかないもんで/◈*ゆくえわっと

この曲をはじめて聴いたときは名前が◈*だけだったので「なんて呼べばいいのか分からないよ~」と思っていたのですが、無事呼びやすい名前の付いたゆくえわっとさんの作品。タイトル表記の時点ではボーカルもなんもわからないので、最初に聴いたときはワクワク半分、不安半分だったのを覚えています。
これまでの選曲でうっすらばれてる気がしますが、複数ボーカルの曲が好きなので、ゆくえわっとさんの曲はなかなか打率が高いです。その中でもこの曲はハモリ方が大好き。「そら飛び掛かれ いまを戦え」の「れ」の部分で湯鬱音カラスの声が下がるとこ、めちゃくちゃ好き。加えて同じフレーズの繰り返しがあるとすぐ癖になってしまうので、その点でも強いです。

6.或世界消失/柊マグネタイト

今を時めく柊マグネタイトさんの処女作。初投稿なのにクオリティが高い上にいろんな要素が入った長い楽曲だったので、度肝を抜かれて「初投稿からこんなに詰め込んで大丈夫??次燃え尽きちゃわない??」なんて何様な心配をしてしまいました。まぁ全くの杞憂でしたが。まさか毎作殿堂入りするようなPになるとは思わなかったよ……。
11分超と長いながらも全く飽きさせない中毒性、様々な要素を見事に一曲にまとめ上げているところ、ノリやすいトランス調でありながら壮大な雰囲気をも持ち合わせているところ、厨二心がくすぐられる小難しい歌詞、どこをとっても最高です。中学生の頃に出会っていたら授業そっちのけで歌詞考察とかしたんだろうなぁ。今は「歌詞詳しいこと全然分かんないけど超かっけー!!!」って気持ちで聴いてるけど。

7.天手古舞/髙木ます

『アラ』とこれでどちらを紹介しようか悩んだ末にこちらを書くことにしました。決め手は説明文の「マスタリング:髙木の担任先生」が好きすぎるので。強くて高い鏡音リンや和風要素が好きなので髙木ますは巡回していてとても楽しかったです。私の好きな要素しかない。
個人的にはやはり音が好きですね。ピコピコ音を使いながらも上手く和風テイストを取り入れ、おどろおどろしさを出している。ドロドロした歌詞とマッチしてて良い―!!ってなっちゃう。メロディでは「穢れは泥で隠しましょう 嫉みましょう」の部分が大好きです。急に速くなって歌詞を詰め込んでいくの、性癖なんですよね。

8.魔法はヨルサク/由末イリ

由末イリさんのflowerとミクのデュエット楽曲。また複数ボーカルの曲だな?このnoteで紹介している曲はほとんど初聴きでビビッときた曲なのですが、これは数回聴いたあとに急激に好き度が増した曲です。いわゆるスルメ曲枠。
この曲の好きポイントは何といってもサビ部分ですね。高音で畳みかけるサビにぐっと惹きこまれた後に、突如としてflowerからミクに切り替わるところで堕とされる。この切り替わりが本当に好きなんですよ。この曲は二人の少女が互いに繋がり補い合っていくことで日々に意味を見出していく曲、という風に個人的には解釈しているのですが、それを踏まえると、このミクさんはflowerにとっての自分の日々を彩ってくれた魔法使いなわけです。それ故「夜が飲んだ街で君は ただ一人さ輝いてた」なんて描写がなされます。しかしミクさんパートに切り替わるとすぐに「君に憑りつく空振る善意 僕に憑りつく不安とかさ」という歌詞が出てきます。輝いているといわれた「僕」も絶えず不安に憑りつかれている。一方的に救っているのではなく救われ合っている。はいここエモポイント。澄んでいるけどどこか儚さを感じるミクさんの高音がよさに拍車をかけています。

9.哲学的ゾンビイズム/ぶりる

『秘密警察』や『どえむ』などで有名なぶりるさんの、およそ五年ぶりの投稿作品。V4X版とNT版とがありますが、個人的には声がかわいい感じがするNT版の方が好きです。
さすが古参Pといったところか、いわゆる「ボカロっぽい」曲の全盛期にボカロにはまり始めた人間のツボをつくような曲だと思います。語感を重視した少し突飛な言葉選び、ノリやすく頭に残りやすいリズム、シャウトからはじまり段々速くなっていくCメロの盛り上げ方など、実家のような安心感があります。こういうのでいいんだよこういうので。あとはぬるぬるとダサいダンスを踊り続けるミクさんのMVも必見。変な動きの途中にかわいいアニメーション挟むな!笑っちゃうだろ!!

10.片時雨の手引き/トマト牛乳

和風!複数ボーカル!フレーズ繰り返しのサビ!といった私の好みを詰め込んだトマト牛乳さんの楽曲。前作の『ロデントの刺客』がなかなか好みだったのでワクワクしながら聴いたら見事沼にはまりました。この人の複数ボーカル、良いですね……。
あと語るべきはやはりサビでしょうか。「○○ような 恋でした」の繰り返しと力強い歌声が失恋の苦しさを際立たせてて本当に胸が締め付けられます。というかこれだけ恋を様々に形容されたら、一個くらい自分の恋に重ねてめちゃくちゃ感情移入してしまいそう。今は失恋期ではないのでギリ耐えたけれども、失恋した直後に聴いたら大泣きする自信があります。あとはサビに転調を入れてくるのもずるい。好きになっちゃうので……。

11.RIP/こわっぱ

こわっぱさんのオリジナル2曲目。初めて聴いたときは、ポップな曲調と「ハッピーラッキー」というサビ頭のフレーズの印象が強く、「かわいい曲!」という風に感じたのですが、よくよく聴くと別れを歌ったとっても切ない曲でした。タグこそついていないけど「ポップ・レクイエム」に属するのかな。まあタイトルが『RIP』な時点で気づけよ、という話ですが。
この曲の好きポイントはやはり跳ねるような曲調ですかね。ミクさんの調声も好み。そしてラスト、「大空の果てまで 行け」と叫んだあとにサビのメロディが入るところは鳥肌ものです。
歌詞については、前述の通り最初は明るい曲だと思っていた結果、改めて歌詞を見つつ聴いたときに特大ダメージをくらったので、皆さんも是非最初は音に、2回目は歌詞に着目して聴いてください。あ、ついでに次作の『嘯く春』もとても良いので是非聴いてください。

12.タイニーバニー/youまん

youまんさんの初の殿堂入り楽曲。youまんさんの楽曲はサビに爆発力があるものが多く、結構好きなのですが、その中でもタイニーバニーは群を抜いて大好きです。2020年1選を決めるとしたらこれかな。
何がいいって、まず声がいい。「強い」「高め」「幼い」「切なげ」といった私の好きな要素のバーゲンセールです。この曲の為に鳴花ヒメを買ったyouまんさんに拍手を送りたい。
歌詞もこれまたいい。youまんさんらしい漢語を多く使った小難し気な歌詞で描かれる、劣等感を抱えた臆病な子の心情。特に好きなのは「罵詈や虚言の奥に潜む 憐憫さえも汲み上げて 真に受けた心は粗鬆に成って仕舞っていた」の部分。共感するかどうかは別として、こういった悲痛感あふれる歌詞は大好きです。罵詈や虚言じゃなく、その奥にあるものを汲み取ってしまうの、あまりにも切なすぎる。あとは最後に「少しでも前に進みたい 嘗ての君の様に」って臆病なりに前を向くのも良くないですか??加えて、ここの「君」みたいに、特定の誰かへの感情が歌われている曲、好きなんですよね。関係性があると一気にエモさが増すと思うんです。

13.アストラル/ATOLS

私の最推しP、ATOLSさんの作品。2020年はなんといってもATOLSさんのボカロP活動10周年という記念すべき年です。その中でも、この曲は2020年にリリースされたCD「ATOLS/MIKU 4」のトリを飾る曲であり、デビュー月である4月に投稿されるなど、10周年の記念碑的な作品となっています。そんな曲なだけあって、ATOLSさんの魅力がこれでもかというほど詰まっています。
まず音が最強。彼の独特な音を言語化するのは中々に難しいのでもうつべこべ言わず聴いてくれ!!とにかくミクさんの声含めて音の響きが綺麗。主張が強いのに歌声を邪魔しないシンセ?の音がよい。
そして最大の推しポイントは壮大な世界観。ATOLSさんの楽曲は生命であったり、神話であったり、大きなテーマのものが多いですが、この曲も宇宙をモチーフにしており、その世界観に圧倒されます。「サイハテノセカイデイマ キセキノヒカリ エイエンノ ヤミカラハナタレタ イクセンノヒヲコエカガヤク」というサビの歌詞とかもう大好き。「奇跡の光」とか「永遠」とか、下手すればチープになりがちな言葉を、ここまで荘厳に響かせられるのは、本当にATOLSさんだからこそだと思います。またその世界観の一端を担うPVもいい。これも自分で作っているの、いまだに信じられません。
しかし、入るも去るも自由なボカロという枠組みの中で、一番好きなPが10年以上活動し続けてくれていること、それは非常に幸せなことなんだな、とこの曲を聴いて改めて感じました。

曲紹介は以上になります。駄文を最後まで読んでくれた皆さま、そして素敵な曲を作ってくれた人々に最大限の感謝を。2021年もボカロを聴くぞ聴くぞ!!!

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