見出し画像

劇的変化を遂げた、フィンランドNATO加盟への国民意識


ウクライナで”戦争”が始まってしまった。フィンランドでも連日ウクライナ情勢に関する報道がなされている。そしてこの侵略は、多くのフィンランド人のNATO加盟への考えを一変させる出来事となった。

フィンランド国営放送YLEの最新世論調査によると、フィンランド人の53%が自国のNATO加盟を支持しているそうだ。もし隣国スウェーデンが加盟した場合フィンランドも即時加盟すべきだと考える人は66%にも及ぶとのこと(どうやらスウェーデンでも同じような世論になっているらしい)。前回調査(2017年)が行われた際の加盟支持回答がたったの17%だったことを踏まえると、いかにこのウクライナ危機によって国民の意識が劇的に変化したかを伺い知ることができる。

フィンランドはヨーロッパで最も長い1300キロメートルの国境を挟んでロシアと接しているが、軍事同盟には今まで加盟せず一貫して中立的な立場を通してきた。NATOと緊密な盟友国であるのは間違いないけれど、加盟への意欲は一部の政治家や国民を除いてほとんどなかったと言っても過言では無いくらいに。

サンナ・マリン首相は「ロシアがウクライナに戦争を仕掛けてから、多くのフィンランド人が考えを変えたり、変えつつあるのは非常に理解できることだ」と記者会見で語っていた。また「ロシアが今後なんらかの形でフィンランドに対して一線を超えた場合、私たちはひとりで応戦するのか、それとも他国と協力して一緒に立ち向かうのか。多くのフィンランド人が今、それを考える時期に直面している」とも。

またこちらではフィンランドがNATOに加盟すべきかどうかを問う国民投票の実施を求める市民運動も起こり、たったの1週間足らずで国会審議に必要な5万人分の署名を集めた。これを受けて国会ではこの国民投票についての審議を行うことになる。国民がNATO加盟の是非を今問うべきだと自ら声を上げ、国会での審議を余儀なくしたというこの事実。実際国民投票が行われるかどうかは微妙なところだが、それだけフィンランド人のNATOに対する意識が変わったということだ。実際私の周りのフィンランド人たちの間でも変化が起こっているのを肌で感じている。ウクライナ情勢の話をしていると「次は自分達が狙われるかも…」という危機感を抱いている人が少なく無い。

そんな中、昨日ニーニスト大統領が急遽米国へ飛んでホワイトハウスを訪問し、米国のバイデン大統領と会談。今日はマリン首相がスウェーデンの首相と面会し、両国の防衛関係の緊密化について話し合った。今のところフィンランドとスウェーデンがMNNA(Major Non-Nato Ally、主要非NATO同盟国)の指定を受けるかどうかは不明だが、近い将来そうなる可能性が高いのでは?と多くのフィンランド人は考えているようだ。

私にはロシアにもウクライナにも、かつて時間を共にした友人たちがいる。その中の一人は医師として今、ウクライナの首都キエフにいるはずだ。どうか彼らが無事でいてほしいと心から切に願う。
そしてこの恐ろしい”戦争”が一刻も早く終わりますように。ウクライナのためにも、ロシアのためにも、世界のためにも。

#フィンランド #リアルなフィンランドライフ #北欧 #日常の出来事 #フィンランド情勢 #フィンランドの政治 #ウクライナ危機 #サンナマリン首相 #ひまわり #ウクライナ国花 #海外在住ブロガー #フィンランド暮らし #欧州暮らし #エッリさんのフィンランド通信 #アラフォー女子



Ellinの過去の投稿はこちらから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?