つぶつぶ事件と帝釈天との再会
これは、もう逃れようがない・・
そう解ったのはまだ書の道をゆくと決めて間もない頃です。
もう争うことなく導きを受け入れるようになり、その圧倒的な力に背中を押されるように、初めての土地へ旅するようになりました。そして、それらは十年近く経つ今だからこそ点だったように思えた出来事が線になり繋がってきたのです。
ここではっきりと申し上げておかなければと思うのですが、私はそれまで霊感もなければどこかの宗教を信仰することもなく、ただただ感じるがままの興味でその場所へ赴いているので、そこにいらっしゃる神仏についてはそのタイミングで調べてみることが多いです。ですから強い信仰に則って神社仏閣参拝をされてらっしゃる方にとっては一貫性のないように感じられるかもしれませんことをご承知おきください。
東寺での事件
京都滞在の際、ある朝私は東寺の講堂にいました。立体曼荼羅で知られる講堂の中心におられる大日如来の前で、目を閉じ手を合わせていると。
なんと!向こうの方から数十、数百の粒のようなものが私の身体目掛けて飛んできたのです!
白くて光っていました。それは、物体としての質量があるかのように感じられました。私はあまりの勢いに後ろに仰け反りそうになるのを必死にこらえ、踵でなんとか踏みとどまっていました。
目は閉じたままでしたし、どのくらいの時間かと言われれば数分にも感じますし、、もう少し長かったのかもしれません。
その光の粒が身体に収まったのか通過したのかはわかりませんが、しばらく目を閉じながらも眩しかったのが漸く収まった頃、クラクラしつつそっと目を開け、どこからかそのつぶつぶが発生したのかと薄暗い講堂でその方へ目を凝らして睨むと、、、なんとつぶつぶの出処は巨大な大日如来の光背に何十体といらっしゃる仏様だったのです・・・
実際にこの講堂を拝観したことがある方も多いことでしょう。しかし、この大日如来の光背をこんなに訝しげに観察した人はいるのか、、と思えるくらい必死で観察しました。
やっぱりつぶつぶはこれらの仏様としか思えませんでした。しばらく呆然としていました。他にも観光客が入ってきて何事もなかったかのように見学し始めました。
兎にも角にも深々とお礼をし、ど真ん中にいらっしゃる大日如来の正面から、私は半ば躓きそうになりながら奥まで移動しました。
再会
不動明王らがおられる端まで行き、先のつぶつぶ光線について幻覚とも思えない体感に不思議がっている私。すると、
「お久しぶりですね」
それはあまりに穏やかに、静かに、慈悲にあふれた振動をもった声でした。
私は脳に直接語りかけられたことに驚いて咄嗟に背後を振り返りました。
もちろん人はいません。声の主は象に乗ったなんとも端正な顔立ちの
像でした。
「・・・・・帝釈天」
思わず声に出して足元に置かれた名札を読み上げました。
お恥ずかしい限りですが、私は本当に勉強不足でした。帝釈天といってもすぐにはピンと来ないまま、返事をしました。
「あの、もちろんお名前は存じております。しかしながらお会いしたことはないと思うんです。」
「。。。」
それから会話はできませんでした。そりゃあそうでしょう!本当に失礼極まりないです。講堂を後にしてからも引っかかって早速調べました。
柴又の帝釈天に行ったこともないし・・・そう、帝釈天はインドの神様。もしかしたら、今生ではなくて、過去にインドで信仰していたことがあるのかな?
知識を伴わないとこんなことになると猛省した出来事でした。
実は私は、会っていました。当時から遡ること5年程前になるでしょうか、高野山の特別開帳でお会いしていたのです。(もしかしたらこれまで何度も京都に来ていますし他の場面の可能性もありますが)
あぁ〜〜!それで!なるほど!!その時だ、本当に失礼しました;(きっと帝釈天はあの気高く美しく優しい表情で私の嘆きを微笑んでくれていると信じています・・)
そして、つぶつぶの効果が発揮されたのは、その直後からでした。当時わたしは闘病していました。直ぐに生死に関わるような状態ではありませんでしたがこれまで健康体そのもので生きてきた身としては治療方が体質に合わず痛みや怠さで一日中やる気も起きないということが多々ありました。それでもずっとここに来いと言われているような気がして身体の不調を押して訪れた京都。
なんとこの出来事を機に一切痛みを感じることもなく、それどころか重かった身体が抱きかかえられたかのように軽く、その日も呼ばれた場所をなぞるように、京の街を一人動き回りました。(現状はと言いますと、いたって好調、経過観察です。)
しかし今思い起こしても、講堂の帝釈天は言葉ではうまく言い表せないのですが、どうしようもなく美しいです。魂が宿っているのです。個展を無事終えたらご挨拶に行きたいと思っております^^もちろんつぶつぶ(失礼)の仏様達にも。
旅エピソード、まだまだ続きます。。
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