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やさしい気持ちが湧いてくる瞬間について

普段、1日のトータル歩数は20歩、寝ているのか起きているのかわからないくらいに怠惰な休日を過ごしていますが、まさに日暮巡査の4年に1度の目覚めのように、夏になると血が騒ぎ出して覚醒する夏生まれのわたしは、詰まっているこれからの予定に向けてパリジェンヌ(まつ毛パーマ)をかけた。それは舞台前だった。

浅はかだった。施術後4時間はまつ毛を濡らさないでくださいね。ってサロンのオネイサンに言われていたのに。そうやん、わたし舞台鑑賞すると百発百中で泣くやん。悲しいお話であろうが、楽しいお話であろうが泣けるんだわ。震えるんだよ、魂が。わたしの魂が!板の上の演者が光に照らされているその画で泣ける時もある。ズッキューンの効果音がなって。

演者と何百人何千人の観客が同じ空間で同じ物語に触れ、それぞれに何かを感じる。この地球で?同じ時代に生まれた私たちが?ここに集って泣き笑いする奇跡、よ。縁あって居合わせた人達との「体験の共有」。これが私にとって舞台の醍醐味。演者と観客、観客と観客の間に見えない聞こえないやり取りが確かに漂っている。見えないものは信じない!血液型占いは信じない!派のわたしですが、これに関しては気のせいなんかじゃないと思う。そんなものが相まって劇は進んでいく。画面を通して物語に触れる時とはまた別次元の楽しみがある。あるシーンで劇場全体が熱を帯びるのを感じる瞬間とか、離れた席の人と同じタイミングで笑う瞬間とか、カーテンコールでブラボーって言いながら(心の中で)拍手していると隣席の方もブラボーって言いそうな勢いの拍手をしているのを見た時とか、「響きました?それ思いました?あなたもですか?わたしもですやん。」ってグッとくる。やさしい気持ちが湧いてくる。凝り固まった心が和らぐ。だから、わたしは舞台が大好き。

週末に「てなもんや三文オペラ」を観劇したばかりのわたしは、まだ残る興奮を胸に、この記事をしたためています。今日も一日が始まります。

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