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とても好きな短歌の記録(2)

(1)に続き注意です。雑な性格なので、順不同、出典もあったりなかったり、俳句も突然混じります。作者間違っていたらそっと教えていただけると嬉しいです…50首ずつのはずですが、これも間違っているかもしれません。

変声期迎えて夏のおとうとは流れることなく燃えてゆく星/うすいはるか
キティのポップコーンはいかが?手に入らないものばかりのジャスコだったね/夏山栞
少女ふと薄き唇をわが耳に寄せて「大衆(マッス)は低能」と言ふ/黒瀬珂瀾
二種類の唾液が溶けたエビアンのペットボトルが朝日を通す/谷川電話
IKEAへとあなたと入る瞬間に微笑みながら消滅したい/谷川電話
ホットケーキ持たせて夫送りだすホットケーキは涙が拭ける/雪舟えま『たんぽるぽる』
いつ買ったんだかわからないブルドックソースが道祖神のようです/虫追篤
勇者にも戦ひたくない夜はありをどりこだけの隊列を組む/小金森まき
山盛りのポテトは崩れ女らの焚き火の跡を残すファミレス/北谷雪
チューリップ覗けば深き闇ありて閉じ込められたしあなたとふたり/小松百合香
壊れてく世界を見てるキキとララしずかに星のステッキを振る/おばけ
殺さない程度に僕を傷つけてあなたは春の季語にまみれた/安藤みなも
寝かしつけてふすまを閉める おまへひとり小舟にのせて流せるごとく/大松達知
マオよマオよひどくさむくてシュウマイのグリンピースで造る王宮/加藤治郎『雨の日の回顧展』
からだじゅうが人魚姫のようだと弟は食卓に言う昼起き抜けに/花山周子
背の骨に沿つて釦は並びをり愛されるべきひとのブラウス/芍薬
YO!YO!YOYO!と生えてた豆苗も三回目ともなるとyoyoyoyo/岩倉曰
汚物入れに「たたら遺跡」と書いてあるたたら遺跡の前のトイレの/片山楓子
おじいちゃんぽかーんぽかん山桜ぽかーんぽかん霞の向こう/水沢穂波
雛の部屋のぞけば妻の唄ひをり/月城龍二
生きることと眠ることを同時にしている晩白柚切れば水が零れて/茱萸
灯ったり消えたりしてる宵の窓 瀕死のティンカー・ベルならおいで/土居文恵
ああすれば良かったでしょう、こうすれば良かったでしょう 闇にフリスビー/土居文恵
床の間のフランス人形肘までの長い手袋はずしてはめる/外川菊絵
次は花になりなよ 鍵を鍵穴に差し込む 次は鳥になりなよ/石畑由紀子
「しにた~い」と「いきた~い」をいっぺんに押しても何も出てこない春/マーチ
飯蛸の飯がぎっしり詰りいるような頭痛の何年ぶりぞ/坂田久枝『自転』
花束にされないですむ部屋にいて野草みたいに前髪むすぶ/山田香ふみ
これは会話なのだとおもふじゆんじゆんにだめになる花を摘みとるときに/河野美沙子
蟒蛇のようなマフラー結びつつ,地獄行きとか聞いていません/茱萸
こくこくと麦茶を注ぐわれもきみもさびしき婚を一度していて/松本志季
はあいお口あけちやつてくださいと言はれてしばらくあけないでゐる/森山緋紗
肉ばかり12キロ焼くBBQ女子会 ここがヴァルハラである/山口綴り
己がためならざる媚薬煮込むとき魔女の肉より菫こぼれぬ/岩瀬百
みづからを閉じるちからのまだのこる白木蓮を夕闇つつむ/木畑紀子『水繭』
カフェーには老嬢の声ひびきたり 願えば叶うと申しますわね/遠藤知恵子
いつもの母ちゃんに戻って、と祈る 少女はみんなそうして一度は祈る/竹中優子『輪をつくる』
城跡にさくらばかりが照らされて誰の見てゐた夢だつたのか/桔梗
嘘泣きが得意になってもう変身出来なくなったプリキュアもいる/中村マコト
好きなパン、好きな廃墟を教えるね これでわたしが全部わかるね/岡乃あや
戴冠式に揺らぐことをゆるされぬ抽象体を馬車は揺らしぬ/森山緋紗
おつぱいはまあるい花野、わたくしのてふてふ、きみは駄目なてふてふ/朧
あのこたぶん腐った林檎だったけどいちばん甘い香りさせてた/富樫由美子
読みさしの図録を不意にひらかれた午後、予感とは後ろ手の花/早月くら
楽園、で終わるしりとりならいいね ふたりで地図を燃やしつづけて/早月くら
ホームズの一人称は僕がいい砂糖でできた辞書を片手に/湯島はじめ
紙の香の即身仏や山桜/高田祥聖
ぼくたちがゆつくりあきらめてゆけるやうにゆるゆるゆるみゆく母/前畠一博
おそらく罠と思うのだけどとてもとても野薔薇のような横顔をくれる/武田ひか
さうやつて笑つてみたい 花は皆うちがはを見せ咲くものだから/若枝あらう

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