ギターは世界だ!!!

はるか昔、突如宇宙から侵略者が襲来した
彼らの科学力は当時の地球文明の比ではなく、なすすべなく殺されるばかりだった
だがある日一人の男が彼らの軍団の前に➖自殺志願者か、発狂者か、はたまた義侠心だったのか➖立ちはだかると、ギターを引き始めた
当然、殺されるものと思われたが…軍団は突如苦しみだし…ついには宇宙へと逃げ帰ってしまった

それから時が経ち現在…身長や収入・顔の良さと同様、ギターテクが価値の一つになっていた!

今強引に大会ステージに上げられた男は…最近公園に居着いた浮浪者か
恐らくあのドラ息子が連れてきたんだろう
物笑いの種が欲しかったのだろう(ふと見ると案の定仲間と一緒に指差して笑っていた)

「……」
男はケースからギターを取り出した
錆まみれで、引くと壊れそうな代物だ(ドラ息子達がそれを見てまた笑っていた)

「……」
ギターを構える
確実に周りの空気と見る目が変わった!(私もだ!)あのドラ息子とはモノが違う!

「……!」
演奏を始めた!
最初はゆっくり、ギターを…いや、私達を慈しむかのように…(客が泣いているのが見えた気がする)
そして徐々に激しく…!(この頃には皆釘付けだった!)
ギターは大丈夫か…待て!錆が剥がれ下から輝くボディが!
ヒートアップ!呼応するようにギターが輝きを取り戻す!前の観客が失神!
さらによく見ると彼の伸び放題だった髭や髪が短く…!?ギターの音波が影響してるのか!?馬鹿な!?

演奏が終わった
彼は皆失神していることを確かめるように見渡し
「待ってください…!」
私だ
今でも思い出せないのだが、どうやってか失神を免れたのだ
「デビューする気はないですか…!貴方なら世界でも有名になれるはず…!」
彼は幼子を諭すように首を振り、子供のように笑って言った

     ギター
「世界は、 ここ にあるよ」

以来彼の話は全く聞かないが、どこかでギターを弾いているだろう
それにギターを弾けば、いつでも繋がれるんだから!


【第一章<神の再来!?>終わり 第二章<神の子どもたち>に続く】

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