たちばなの花
たまたま出会った夏の和歌に、たちばながたくさん出てきた。
誰かまた 花たちばなに思ひ出でむ われも昔の人となりなば
行く末を 誰しのべとて 夕風に 契りかおかむ宿のたちばな
帰り来ぬ 昔を今と思ひ寝の 夢の枕ににほふたちばな
ほととぎす 花たちばなの香をとめて 鳴くは昔の人や恋しき
等など。
この時代の人たちにとって、たちばなの花の香りは昔を思い起こさせる香だったらしい。
たしかに、昔を思い起こさせる香りはある。
5年、10年なら。
さらに長い年月を経てもなお、香りとともに思い出は甦るだろうか。
好きだった人がつけていた香水は、今でも思い出せるだろうか?