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【一日一文】世阿弥「秘すれば花なり、秘せずは花なるべからす、となり」

8月8日
世阿弥が記した「風姿花伝」から、一文をご紹介します。

世阿弥は室町時代の能役者。
8月8日が忌日とされているため、この日のご紹介になったのですね。

秘すれば花なり、秘せずは花なるべからす、となり。この分け目を知る事、肝要の花なり。

そもそも、一切の事、諸芸道において、その家々に秘事と申すは、秘するによりて大用なるが故なり。しかれば、秘事といふことを顕はせば(あらはせば)、させる事にてもなきものなり。これをさせる事にてもなしと云う人は、未だ、秘事と云う事の大用を知らぬが故なり。

「風姿花伝」より引用。一部改行。


ここでいう「花」とは、「人の心に思ひも寄らぬ感を催す手立て」を指します。

諸芸道において、おもしろさや芸の素晴らしさなど、多くを磨く大切さが説かれています。

本来の「花」とは、観客が喜んでくれるかどうか。この一言に尽きると思うのです。

相手の立場をおもんばかる心が、示されているのですね。



「一日一文」不定期に更新を始めます。
哲学者・木田元(きだ げん)氏編纂の本「一日一文」から、心にとまった先人の言葉をご紹介したいと思います。

ひとつは自身の学びのため。
ひとつはすこしでも豊かな気持を分かち合うため。おつきあいいただけると幸いに思います。

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