マガジンのカバー画像

Jazz The New Chapter for Web

135
シンコーミュージックから発売される『Jazz The New Chapter 』シリーズに関する記事や誌面に載せきれなかった未公開インタビューや掲載インタビューのアウトテイクなど… もっと読む
運営しているクリエイター

#music

Interview Lauren Desberg:ローレン・デスバーグ:ブロードウェイ・ミュージカル、カーペンターズからR&Bまでを繋ぐ歌とジャズ

グレッチェン・パーラトやベッカ・スティーブンス、カミラ・メサなどなど、様々な個性のヴォーカリストが次々に現れるジャズシーンの中でローレン・デスバーグはちょっと異質だった。なぜなら出てきたときに「グレッチェン・パーラトに師事」というコピーがついていたからで、「グレッチェン、若手枠なのにもうそんなポジションかよ」的に驚いたし、ローレン自体もずいぶん個性的だったからだ。今思えば、グレッチェンの『Lost & Found』以降、とも言えるサウンドでもあるのだが、その楽曲や歌、録音やミ

有料
100

interview Dayna Stephens - デイナ・スティーヴンス:自分の楽曲は、様々なアーティストによって語られ、歌われる「ストーリー」のようなもの

Jazz The New Chapterでは現代のジャズをより深く知るためにサックス奏者を取材し続けていて、5ではサックス特集をしっかりやりました。その中でもデイナ・スティーブンスにはいつか取材したいとずっと思っていました。 その理由は彼のサックスや作品が素晴らしいこともあるけど、理由はそれだけではなく、例えば、EWI(ウインドシンセサイザー:管楽器のように息を吹き込んで演奏するシンセサイザー)を吹いている現代ジャズ・シーンのサックス奏者としてEWIについて聞いてみたかった

有料
100

Makaya McCraven - Universal Beings:Disc Review without Preparation

マカヤ・マクレイヴンの2019年作『Universal Beings』はNY、シカゴ、ロンドン、LAと分けた4部構成。このアルバムはこの年を代表する一枚であり、2010年代の重要作でもあると断言できる。 それぞれのセクションで、それぞれの地域に由来したメンバーとのセッションを行い、そこでは楽曲に関しても、現代のジャズの四ヶ所における地域性を示している。全てのセッションでドラムだけはマカヤが全て自分で叩いてて、それらの地域性や音楽性を的確に叩き分けて、溶け込んでいるのがまず驚

有料
150

"50 Best Jazz Albums of 2019" by Jazz The New Chapter (with Playlist) #JTNC

Jazz The New Chapter監修者 柳樂光隆が選んだ2019年のジャズの年間ベストです。 1 . Christian Scott - Ancestral Recall 2 . Robert Glasper - F**K Yo Feelings 3 . Kendrick Scott - A Wall Becomes a Bridge 4 . Dan Tepfer - Natural Machine 5 . Brad Mehldau - Finding Gabrie

有料
100

Snarky Puppy:スナーキー・パピー『Immigrance』とモロッコの音楽グナワのこと(Playlist付き)

※スナーキー・パピーについてはメンバーの小川慶太が解説してくれている以下の記事もおススメです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 新作『Immigrance』が素晴らしい。前作『Culcha Vulcha』からずいぶんアップデートされた感覚があるのは、ライブ録音ではなく、スタジオでのレコーディング作品として制作するためのアイデアが明らかに増えていて、それが彼らの生演奏のすごさと噛み合っているからだろう。 ここ数年で個々のメンバーの活動はますます活発になってい

有料
250

スピリチュアルジャズって何? - カマシ・ワシントン以降、多用されるキーワード”Spiritual Jazz”のこと

00年代の始めごろの僕は、家ではロックやテクノやヒップホップも聴きながら、クラブにもたまに行きながら、大学の近くのジャズ喫茶に通ってはジャズを聴いていた。ジャズ喫茶の店主と仲良くなってからは、レコード屋に行っては、ジャズを買い、ジャズ喫茶に持っていって聴かせてもらったりしていた。もちろん、レアグルーヴも聴いたし、ブルーノートもプレステッジも、フリージャズもヨーロッパジャズも聴いた。その中で、ジャズ喫茶の店主やお客さんとの会話が最も盛り上がるのが、インパルス期のジョン・コルトレ

有料
250

"50 Best Jazz Albums of 2018" by Jazz The New Chapter (with Playlist)

Jazz The New Chapter監修者 柳樂光隆が選んだ2018年のジャズの年間ベストです。 1 Kamasi Washington - Heaven and Earth 2 Brad Mehldau - After Bach 3 Ambrose Akinmusire - Origami Harvest 4 Rafiq Bhatia - Breaking English 5 Antonio Sanchez - Lines in The Sand 6 Julian L

有料
100

interview Moto Fukushima(House of Waters) ー USの音楽シーンでサバイブすることと、NYの南米ジャズ・コミュニティー

スナーキー・パピーのマイケル・リーグが運営するレーベルのGROUND UP MUSICからHouse of Watersというバンドがデビューしていた。ヨーロッパの弦楽器ダルシマーを配したトリオという不思議な編成だが、Groundupが実力があるライブバンドをリリースすることをレーベルのコンセプトとして掲げているだけあって、その内容は素晴らしいものだった。 その動画を見ているとアジア人ベーシストがいることに気付いた。名前はMoto Fukushima。 さっそくNYのジ

有料
250

『Jazz The New Chapter 5』の作り方: 新しいジャズとジャズの歴史を編集するための試行錯誤 - インタビュー 柳樂光隆(取材:伏見瞬 @shunnnn002 )

『Jazz The New Chapter』は現代のジャズの動向を伝えることで、日本の音楽ファンの生活に大きな影響を及ぼした。この本がなければ、ロバート・グラスパーやカマシ・ワシントンの名前が今ほど広く知られることはなかった。現在まで5冊を数える『Jazz The New Chapter』シリーズについて、監修人である柳樂光隆はそれぞれをあくまで一冊の「本」として読んでもらいたいと語る。その真意はどこにあるのか。ジャズメンの言葉を伝えるメッセンジャーの役回りが多い柳樂に、

有料
100

書評:『Jazz The New Chapter 5』 - この本はジャズ、アメリカ音楽の本としてだけでなく、教育の本として読むことができる(伏見瞬 @shunnnn002 )

『Jazz The New Chapter』のテーマは、教育だ。  カマシ・ワシントンはジェラルド・ウィルソンのビッグバンドに所属していた時に受けた教えについて、誇らしげに語っている。クリス・デイブは地元ヒューストンの伝説的な盲目ドラマー、セバスチャン・ウィテカーからの直接的な影響を説明するために多くの言葉を費やしている。その他にも、ロバート・グラスパー、ケイシー・ベンジャミン、テラス・マーティン、マリア・シュナイダーなど、インタビューを受けているほとんどのミュージシャ

有料
100

Interview Kan Sano - どこにも属したくないと思ってたし、誰とも同じことをしたくないと思ってやってきた

僕は2014年2月に『Jazz The New Chapter』を刊行した。その時に売り場を見にタワーレコードに行ったら、店内演奏の音源が耳に留まった。「あれ、この感じ、自分の本でも取り上げてる感じのサウンドじゃん…」。何がかかっているのかを見たら、それはKan Sanoの2ndアルバム『2.0.1.1.』だった。「わ、日本人かよ」。そこから彼のファンになった僕は何度かライブにも足を運んだりもした。 2017年にKan Sanoは3rdアルバム『k is s』をリリースした

有料
100

Jazz The New Chapter 5 序文 for Web

20代のころの僕は、ひたすらCDとレコードを買う生活を続けていたが、たぶん10年くらい前、そこから少し変化が出始めて、音楽の歴史みたいなことへの関心が増してきて、ジャズの本を買って読んだり、時間を見つけては国会図書館に行って、『スイングジャーナル』とその関連誌の『アドリブ』のバックナンバーを創刊から順番にひたすら読んでいた。 (※この件は『adawho』とか、何度か取材で話したことがある。) 1947年に創刊された『スイングジャーナル』は2010年に休刊するまで67年間

有料
100

Interview - 挾間美帆が語るセロニアス・モンクと『THE MONK : LIVE AT BIMHUIS』

2017年はセロニアス・モンクの生誕100年の年だった。挾間美帆はその記念すべき年にオランダが誇る世界屈指のオーケストラ メトロポール・オーケストラとともにモンクをトリビュートするライブを行った。その模様は『ザ・モンク:ライヴ・アット・ビムハウス』に収録されている。ビッグバンドによるセロニアス・モンク作品集としては、新たな傑作が生まれたと思う。 このプロジェクトの話を知ってから、タイミングが合ったら挾間美帆にモンクの話を聞きたいなとずっと思っていた。たまたま僕も『100年の

有料
100

interview 福盛進也 - about Shinya Fukumori Trio『For 2 Akis』 後編「僕はドラムを打楽器とは思っていない」

「2018年にECMから日本人ミュージシャンがデビューする。」という情報を得たのは2017年の夏ごろだった。ECMの本社があるミュンヘンに在住の30代で福盛進也という名前のドラマーだと知ったが、どんなミュージシャンなのか僕は何も知らなかった。 会いに行ったのは2017年の8月。関西弁のイントネーションが残る穏やかな語り口で「ユニクロのECMのTシャツ出てましたよね。僕、爆買いしましたよ。」とか言ってしまうような大のECM好きの彼はジャズ史における超名門レーベルでありながら、

有料
100