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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2015年11月の記事一覧

9/30 雑感 スパイラルレコードと山上くんのこと

なんか、とある文章を読んで、いろいろ考えていた。フリージャズ・リスナーだった自分がロバート・グラスパーに向かったこととか、評論家/ライナーとしての自分とリスナー、メディア、レコードショップ、ジャズシーン、音楽家、DJ、さらに言えば社会とのかかわりに関する自分の中での(時間をかけてゆるやかに起きた)大きな変化とか、そういうことも含めて考えていた。 自分にとっては2010年から本格的に文章を書く仕事が始まって、震災があって、長く働いた職場を辞めて、2014年に本を出した。この5

9/30 雑感 コンポーズされたものの中からはみ出てしまう個、個が躍動するコンポーズ

コンポーズされたものの中からはみ出てしまう個、収まり切れない個、それが楽曲を豊かにすることに耳が行く。個が躍動するコンポーズ。クリシェ的な自由というか、お決まりのフリーを耳にしてもあまり何も感じない。というより、クールじゃないと僕の心が言う。制度の中で制度に従っていても尚抜きんでてしまう個を楽しんでいるんだと思う。さらに言えば、それこそが最もスリリングだとさえ思う。 今、思えば、だからこそ、僕はあの本の一冊目で、スティーブ・コールマン=M-Baseなんだって話を書いたと思う

Chassol : シャソールのライブを見て思ったこと ― "エルメート・パスコアルのリズム感覚と音楽と非音楽の間"

昨日、モントルージャズフェスティバルでの、シャソールのライブが素晴らしかったんですが、一つ気付いたことがあったのでメモ的に。 CDで聴いてるシャソールのピアノはなんとなくエルメート・パスコアルのピアノに似てるなと思ってたんだけど、生で見てもそう感じたんですよね。 シャソールはスクリーンに映した映像と同期した人間の喋りや動物の鳴き声の音源に、その場で即興的にピアノでハーモニーを付けたり、なぞったりするパフォーマンスをすることでも知られている。以下のオバマ大統領の演説に音を重

¥100

10/25 ダイメ・アロセナ@Peter Barakan's LIVE MAGIC!

ダイメ・アロセナ、サイコーでした。シンバッドの参加でささやかなエレクトロニクスが効きまくってる。これ、ダンスフロアにもぴったりのdopeなラテンジャズ。たとえテンポはスロウでも、ずっとリズムが聴こえるから。 そして、ダイメ・アロセナの歌がすごい。こんな生で見たらジャイルス・ピーターソンじゃなくてもリリースに動くだろう。というか、動かないやつはレーベル辞めちまえって思うくらい。 あと、ダイメは生で見るとジャイルス・ピーターソンが彼女に惚れ込む理由が非常によくわかった。今の感