スピリチュアルについて

昔から周囲のどこかに精神世界や霊的存在、自然信仰を過度に重んじる人が存在しており、遭遇する度「宗教的な雰囲気を持った、純粋だがあまり頭は良くなさそうな人々」だと思っていたのだが、数年前にそれらは「スピリチュアル」という言葉で言い表せるのだと知った。

私自身はスピリチュアルは頭の悪い人のための宗教である…と考えているので、たいして興味も持たなかったのだが、コロナの蔓延により奇妙な考えを持つ人々(陰謀論者と呼ばれている)が悪目立ちするようになり、それらがスピリチュアルと密接な関係にある事を知って改めて考える機会を得た。

スピリチュアルの人は非常にシンプルで白か黒かの二分法的思考をし、基礎的な学力は低め。オーガニックや有機栽培といったワードを好むが、知識・見識はあまり無く、論理的思考を苦手とする傾向がある。

ある時スピの一人が「〇〇の原材料にはスキムミルクが入っているので信頼出来ない」などと言い出したので、よくよく聞いてみるとスキムミルクをなにか得体の知れない物で作られた偽の牛乳だと思っているらしかった。
スキムミルクは脱脂粉乳の事ですよ?と指摘すると、当惑したきり押し黙ってしまったが、時折こうしたコントのようなやり取りが起こる。

他にも危険な成分の一覧を挙げている人がおり、しょっぱなから「グルタミン酸」と書いていたのは面白かった。
グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸の三大うまみ成分を知らないのか。

そこで、ああ自分はそんなことも知らなかったのか、恥ずかしい勉強しよう…と思えれば良いのだが、なぜかその後も知を得ようとせず突き進んでしまうのが常で、自然でないものは危険であると謎の警鐘を鳴らし続けている。

しかしそもそも各動植物は自らの生存と種の存続のために存在しており、別に人間に食べられるために実をつけたり卵を生んだりするわけではないので、毒を持つ事も多々ある。
自然というのは人間にとって厳しく度々生存を脅かすものであり、人間の歴史とは自然と格闘してきた歴史であるという事を忘れてしまったが故の礼賛で、大変不自然な信仰ではないのか…と思うのだが。

最近のスピリチュアルは霊的存在云々を超えて、宇宙信仰まで展開しているらしく、ひと昔前だと宇宙の意思…のようなスケールは大きいが抽象的過ぎて意味不明な事を言っていたのがもう少し具体的になり、「〇〇星人が文明をもたらした」とか、「我々は〇〇星人の子孫(あるいは転生)」であるとか、銀河連邦…といった中二ワードが飛び交う世界になっているらしい。

多分、漫画やアニメが浸透した世代がスピリチュアルの中心世代になっているので、設定が漫画寄りになってきているのだと思うが、宇宙戦艦ヤマトか!?と突っ込まざるを得ない。
誰の創作なのか。

個人的な話になるが、昨年、心を病んだ元友人から怪文書が届くといった出来事があり、内容はオカルトそのもの、部分的にスピリチュアルの影響が濃厚だったのだが、この人は結構高学歴のはずだった。
学生時代に芸能関係の有名人に師事するようになった経緯は知っていたが、どうもその人が売れなくなってスピリチュアルに傾倒するようになり、その影響を受けたものと思われる。単純に学力があっても思考力が不足するとこうなるのか…と暗澹たる気分になった一件だった。

世界は決してそこまでシンプルではなく、カオスでグレーなものであると認識していれば防げると思うが、割と世の中単純な図式を求める人が多く、結果としてカルトまがいのものが蔓延りやすいのだろう。
以前に書いた「世の中がどんどんモラルが高く潔癖になっていっている」という話とも繋がっているのかもしれない。

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