「占い」という合法詐欺

名前は伏せるが、昨年、少しの間注目していた占い師がおり、徹底的に神秘の否定をするスタイルが面白かった。
幽霊はいない、スピリチュアルは嘘、特別な力を持った人間などいない…など、占い師でありながらホームグラウンドを否定するような現実的な発言をするのが良いと思っていたのだが、何故だか陰謀論にはガッツリ引っかかっており、コロナはビル・ゲイツの陰謀であるとか、イベルメクチンがコロナの特効薬であると本気で信じているらしく、やはり所詮は占い師でしかなかったか…と注目するのを止めた。

この人が陰謀論に引っかかったのは、おそらく学歴が低い(基礎学力が低い)事と、ほとんど一般的な仕事をした事がなく客も夜職の人が多いようなので、組織とは何か?を学ぶ機会がなかったためではないかと思う。
幽霊や神秘はないが、権力を持った人間ならどんな恐ろしい事でも出来る…と思い過ぎてしまったのだろう。
コロナウイルスという世界規模の厄災に対して、現実的な想像力が追い付かず、特定の誰かや組織の陰謀であるという己の想像が可能な範囲のファンタジーに浸ってしまったのだった。

勿論、私は占いなど全く信じないし、誰かに占ってもらった事も無い。せいぜいおみくじが限界であり、どちらかと言えば忌避すべきものだと考えていたのだが、あるYouTubeの動画を観て少し考えを変えた。

岡田斗司夫の人生相談なのだが、この回答が大変素晴らしく、何をどう考えて回答したのかも本人が解説しているので非常にわかりやすい。

簡単に纏めると、クズと付き合っている熟女が相手をクズだとなかなか認められず、結婚出来ないなら別れるかどうするか悩んでいる…という内容なのだが、岡田斗司夫からこれ以上ないと言えるほど適切なアドバイスを受けても素直に受け取れず、何故か占い師に相談しに行ってしまう。
そして占い師からも「そいつクズだよ」と指摘され、ようやく現実を見る事が出来るようになった…という話なのだが、これを見た時に「占い師とは現代の(主に)女性のためのお悩み相談室やカウンセリングルームとして機能しているものなのか…」と思った。

占いそのものはただの詐欺でしかないのだが、人生経験豊富な人のアドバイスにはある種の信頼性がある。
精神科のカウンセリングとなると、堅苦しさや物々しさ、敷居の高さを感じると思うが、多少なりとも神秘の力を信じているような女性にとって占い師ならば信頼性が高く、気が楽なのだろう。多分。

年々、宗教を持つ人の割合は減っているのだが、その分スピリチュアルや占いといった曖昧な分野を信奉する人の割合が増えているという。
私自身は今後も占い師を頼る事はないだろうが、宗教や地域コミュニティの崩壊に変わる存在として、現代の需要を満たし続けるのだろう。

とは言え、本当の詐欺師も少なくなさそうなので、やはり利用する側にある程度以上のリテラシーを必要とされるのが難ではある。

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