アッパー系コミュ障という問題児

ここ1年以内に転職してきた後輩の話。
いささか堅すぎるほど堅い会社にハイテンションな後輩が入社してきたのだが、これがなかなか奔放自在な人で、オフィスカジュアル推奨の会社にラフなTシャツでやってきたり、私物をデスクの上に広げるなどして、あっという間に会社が緩くなっていった。
元々会社の体質が古過ぎた事もあり、旧来の悪い傾向が薄まったのでしばらくの間は良しとしていたのだが、やがて負の影響を及ぼすようになってきた。

この人は、誰にでも物怖じせず話し掛けることが出来、自分の常にハイテンションなペースに巻き込む事で周囲に影響を及ぼすようなタイプなのだが、一方で世間一般との乖離を感じさせる瞬間が度々あり「常に明るくハイテンションなのだがどこか変」という印象を抱いていた。
このような人なので過剰とも思える自信に溢れており、「私はコミュ力が高くバイリンガルであり仕事のスキルも大変に優れている」と自負しているのだが、正直言って仕事のスキルは並+(能力偏差値52といったところ)ほどであり、とりわけ抜きんでて優秀というワケでは、全くない。

自己評価がやたら高い事はさておき、常に人をジャッジ(自分より上か下か)する、他者の礼儀に大変厳しい、他者への批判が強い割には自分への批判は一切許さず聞く耳を持たない、その上拡声器なので批判内容が社内に伝播し、特定の人物の立場を悪くさせている…という事が続いたため、さすがにこれはちょっとまずい状況ではないか?と思い始めたのだったが、自分自身への批判は何が何でも許さない人なので対応に苦慮している…というのが現状だ。

この人は一体どういう状態にあるのだろうか?
何故このような人になるのか?

そこで初めて知ったのだが、世間には「アッパー系コミュ障」と呼ばれる人がいるらしい。
大変積極的で短期的には仲良くなれる事もあるが、自信過剰で人や物を貶しがちであり、目立ちたがりで自分が場の主役になりたがる。挨拶に過敏で(他者の)礼儀にやたら厳しい。基本的に他責であり自分に甘く、コミュ障の自覚がないために最終的には人が離れてしまう…など。

ほぼ全てが後輩に合致していた。

この人の経歴を少し聞いたことがあったのだが、どうも家庭内不和があり、根底に寂しさと若くして家を出た事から若年時に貧困の問題も抱えていたと推測する。
その結果、過剰なコミュニケーションと押しの強さ、常に自分より上か下かを考える一種の悪癖と、他者への不寛容さを身に着けてしまったのではないだろうか…?

しかし、「あなたはアッパー系のコミュ障です。治療しましょう。」などと指摘しようものなら瞬時にして大発狂するのが目に見えているため、少しずつ距離を置き、それとなく転職を促すのが最適解なのだろうと思う。


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