女に生まれたという事:1--「HBar」というインモラルな響き--

(※結構以前の話であり、内容でもあるので名称等変更しています。)

自分を考える時、多くのものを省いて行った先にあるモノを考えるようにしている。省いて行く事は以下のようなものだ。

・肩書

・家系

・環境

・性別

・年齢

だいたいこれらを省いて行ってモノを考える。しかしある日同僚と食事に出た日、男子社員も含め2対2の合コンのようなランチタイム。そこで男子社員が読んでいた雑誌を見ながら言った。

「○○バーね…」

すると私より少し年下の落ち着いた感じのしっとりとした女性同僚が言ったのだ。

「行った事あるよ!」

私はカマトトぶる訳では無いが、「性」に対して無頓着だった。非常に無頓着だったので、そうした情報かた遠いところに居たし、考える事を後回しにしていた。

後回しにしていた、もしくは出来た事には理由があったのだが、それはまたいつか話しをしたいと思う。

そう。「Hバー」だ。

(なにそれ?)
心の中に疑問が浮かんだが、4人で行ったランチの席で、知らないのは自分だけだったようだ。

「どうだった!?どうだった!?」
すごい勢いで男子2人が食らいついた。

しかし、それ以前にそれがどういう所なのかを私は知りたかった。

「なにそれ?」

少し不機嫌に私は言ったと思う。

「Hプニングバー…。」
彼女はしれっと答えた。

「そうそう!今結構噂なんだよ!」
「いやー周囲で行った事のある奴居ないんだよ!」

矢継ぎ早に男子達はそう説明すると、その発言した女子の方へと喰い付いて行った。

「どうだったの?」
「それでなんかハプニングはあったの?」

そういった色々な発言がランチに飛び交った。

私一人を蚊帳の外に残して話しは盛り上がっていたようだったが、私は内容がいまいち把握出来ずに食事を取りながら別の事を考えていた。

その日の出来事は自分が、蚊帳の外に置かれた事が頭に来ていたのか、私はすぐに忘却れてしまった。

当たり前だ。日々は多忙で人生は短い。仕事に戻ればまた職場の喧騒が私を取り巻いた。

なんだか居心地が悪くあまり楽しくもなかったそのランチタイムは私の中で押し流され、私はそのまま業務に没頭した。

そう、私はこの時も自分の思考の「原理原則」に則って、無意識に性別を検討材料から外してしまっていた。



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