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100日後に死ぬワニの「後」の展開に「おこ」な人たちの理由

(※最初に…いつもより900文字くらい長くなりました)


100日目に死ぬワニを読んで良い作品だなーと思った。

近親者を送った経験があるのだが、本当にこんな感じ。
ある日突然自分たちは一体ではあるが、唯一無二であるからこそ孤独なんだなという事を知らされる。


ところでこの100日目に死ぬワニさんがリアル転生して稼いでいる事に色々思う人達が溢れている。溢れているというのは話題に上がっているという事で、人の注目を集めればそれだけアンチが湧くのも当然。

なのだが、今回のこの手法はかつてのアレだなぁとしみじみと感じたのでここに記録。


そもそも100日目のワニは「Twitter」で公開された作品だった。Twitterを知りこのアーティストを支援している人たちの間で大切に進んで行った作品だった。100日をかけて少しづつリアルタイムで作り手とそれを読む側の間でライブのような臨場感を持ってその質に対する評価、いわゆる「スクリーニング」のやり取りがこの100日間で行われたという事なのだ。

そしてこの作品は金銭や利害の全くなりその恐ろしい「評価」をクリアして行った。過程の中で作品は多分成長し、物語は大きく動いて行ったとも思う。

そこにはアーティストとリアルな受けて側とのシビアでかつ誠実なやり取りがあったのは他でもない。

しかし多くの受けてのスクリーニングをかいくぐり作品は成長し品格を持った。(何度も言ってすいません…)作者も描ききった。

認められさらに受け手の数と支援は広まり、認知は加速した。(と想像する)


しかし、この作品をより広く伝播しそれを収益化しようとする人たちがいた。これは悪い事では無い。アーティストが生み出した作品が素晴らしいならそれが評価され、それに値する対価を得るべきであるのは当然の事だ。


しかして、この作品を評価し、その対価を生み出そうとした人たちは、大失敗をした。大失敗の理由は以下のポイントだと思う。

・Twitterで広まった作品だという事を失念したか蔑ろにしすぎた
・既存メディアでかつて縦断爆撃的に行っていた「マス」操作をここで展開してしまった。
・過去の手法にすがり過ぎてトレンド感も何もなかった。
・作品の物語性、流れを全く無視してしまった。


もうこれらに集約されている。

Twitterで広まった作品だという事については前段でもどうゆう状況だったのかという事は書いた。多分この物語の「後」の展開を指揮した人たちはTwitter=マス(過去の既存メディアの)だと勝手に理解し事に及んだ。

過去のマス広告というのには(少し前の経験から言うと)には「セグメント」というのがあり、その仮想セグメントをターゲットとして展開していく。して行くのだが、そのセグメントというのが当時でもバカバカしいことこの上無いものだった。


本当にこうゆうのは人の多様性を無視しているなぁと…今でも思う。息づく人の生活はそこには無いのだ。


今回のこの仕掛について考えた人たちはその人の認知の外側についての想像や理解を面倒臭がってやらない人たちの典型みたいな感じだった。

いやその人達が悪い訳では無いのだが、それを「通して」しまった人たちやシステムが…すでに過去のモノ感を拭えない。

確かにTwitterはマスだと思う。しかしだ、実はこれこそがライブでリアルなマスであり、そこに生きる人達はそこで生き、生活し、そして仕事し納税(←w)している。それらを過去の成功体験のみに頼り、簡単に一つのくくりにして広告展開。作品にケチをつけてしまった。

しかもだ。最も愚かだったのは、100日目に死んだはずの者がその日に生き返り稼ぎ初めてしまった。そしていわゆる良く言われていた過去の産物のような言葉「メディアミックス」をしてしまった。受け手が100日間、ワニと共に過ごした時間は台無しにされたのだ。


これでは100日間受け手の目線に耐え続けた秀逸な作品の物語性は死んでしまう。全くコアに応援していた人々が日々どうなるのかとワクワクドキドキしたものを全て無視してこれである。


作品を読ませていただいたが、私は非常に感動した。

世の中にまだまだ分からない事は沢山あるが、全ての人にわかっている事は100日目じゃなくても隣にいるこの温かいぬくもりを有する人がいつかこのように我々から離れて手の届かないどこか良く分からない所へ行ってしまうというリアルのみである。

生活が整備され、日々の中で死が遠くなりそれを忘れてしまう事で大切なモノを失ってしまう事を思いださせてくれる。

それらは過去のその人と過ごした膨大な情報…時間や時や風景や音や匂いに…全て含まれているものだという事。

何ひとつ単純化し一つのWORDには出来ない情報だという事。

それら言葉に尽くせない事がその中には描き切られていると私は感じた。

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