子育て世代に人気のアプリ「みてね」から学ぶ企業コミュニティのヒント
こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
写真・動画共有アプリ「家族アルバムみてね」はご存じでしょうか。お子様のいらっしゃる家庭であれば、使ったことがあるかもしれませんね。
2015年にスタートした「家族アルバムみてね」は、2023年11月に利用者数2,000万人を突破したとか。かくいう私は、昨年までその存在すら知りませんでした。孫が生まれ、息子夫婦からこのサービスに招待してもらったのをきっかけに、今では毎日楽しく写真や動画を閲覧しています。
さて、この「みてね」ですが、企業コミュニティにとって参考となる部分があると思い、今回のこぼれ話のテーマにしてみました。「みてね」を運営しているのが、元祖コミュニティサービスのmixi(ミクシイ)を立ち上げたMIXIだから?いえいえそういうわけではなく、グループの形成方法、コンテンツ力による共感の醸成、テクノロジーの活用などなど、企業コミュニティをより魅力的なものにするためのヒントがたくさん詰まっているからです。
まず、グループの形成方法。「みてね」は完全招待制です。子どもを持つ親が自分の両親や親族を「招待」し、グループに参加してもらいます。子どもの写真や動画は、不特定多数の人が閲覧できるオープンな場で公開することにためらいがあるもの。その点、「みてね」なら、安心して共有することができます。
企業コミュニティでも、企業の持つノウハウや、会員の悩み事の共有など、秘匿性の高いテーマを取り扱うことがあります。MROCと呼ばれるリサーチを目的とした小規模のコミュニティがその例ですね。
企業コミュニティにとって参考となる点のふたつめは、コンテンツ力です。「みてね」には写真や動画にコメントする機能がありますが、これは商品の感想等をお互いに発信し合う企業コミュニティの手法と同じ。でも、「みてね」はさらに、子どもの写真・動画という特徴に合わせた工夫が加えられています。
例えば、時系列の比較です。「1年前の今日」や「今月のまとめ」など、振り返って楽しいまとめ機能が充実しています。企業コミュニティも長期にわたって運営していれば、現在進行形の企画と過去コンテンツをシンクロさせることでより共感が高まることがあるでしょう。「春といえば・・・」「クリスマスには・・・」といった季節性のあるコンテンツをはじめ、繰り返し行うイベント/キャンペーンでは、過去の実施内容や会員との双方向のやりとりの履歴が共感を生むことがあるのです。
そしてもうひとつ、「みてね」が企業コミュニティにとって参考となる点は、テクノロジーの活用です。「みてね」ではひとつの契約のなかで、アップロードされた写真・動画をプログラムで判別して人物ごとに分類し、「アルバム」を分けることができます。つまり、きょうだいで別々のアルバムを作成できるということですね。また、写真・動画を1秒ずつつなぎ合わせたダイジェストムービー「1秒動画」も自動生成してくれます。
このようなAIを活用した便利な機能が、手軽に楽しめる時代になってきました。「みてね」のテクノロジーに関して企業コミュニティが参考にすべきなのは、アルバム生成や1秒動画における作業の効率化という視点よりも、「こんなのがあったら嬉しい」という共感を生み出すことに重点を置いているところだと思います。テクノロジーをユーザー体験(UX)にいかに繋げていくか、今後の企業コミュニティは考えていかなければならないのだと気付かされました。
日頃何気なく楽しんでいるアプリやWebサイトのなかにも、いろいろなヒントがあるものですね。
※紹介している「みてね」のサービス内容は、2024年4月時点のものです。また、無料版と有料版があり、無料版では利用できる機能に制限があります。ご利用の際は、最新の情報をご確認ください。