未命名設計

FOOD@台中:200215-旧台中市役所 CAFÉ 1911

二月中旬、前に鵺の食レポに出てきた、ロサンゼルス在住なのに、太平洋をあたかも池のようにしょっちゅう渡る友人・ユージンの計らいで、彼と私の日本やアメリカや台湾の友達を誘い、まず雲林県のあるスポットに訪ね、それから彼の育ちの故郷である台中市に一泊の小旅行をした。

スケジュールを組む段階で「台中二日目のお昼は、台中市政府のとこにある台中市役所で食べようか」と言われた時、早口言葉かと思った。調べてみたら、現在の台中市役所=台中市政府のすぐ横には日本統治時代の旧台中市役所だったが、のちにリノベーションされた建物があり、その中に入ってるカフェ「CAFÉ 1911」のことだ。

そして行った。天気がすこぶる良かった。

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と。なぜか現・台中市役所の写真しか撮っていない。のぼり旗は全面日本語の異様さに注意力を持っていかれたかも。道路を挟んですぐ横にある旧台中市役所の外観写真は適当にググってください(なげやり)

建物に入って「臺中市役所 明治四十四年」の看板が見える。さらにカフェの入り口から「CAFÉ 1911」の看板も。

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旧台中市役所は明治四十四年、すなわち1911年に竣工。当時では台中地区の初の鉄筋コンクリート建築でもある。この「明治四十四年」をロゴにも組み込むように、内装には至るところまで「日本統治時代ゆえの和風」、あるいは「台湾人の憧れる日本」が強調される。このようにね。

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百年以上の歴史を持つ建物だが、内装はかなり新しい。建物自体は2003年、2013年に二期を分け、それぞれ一年ほどかけて修復した。中はカフェや売店の運営での必要に合わせ、壁の一部だけを残して(売店で見れる)、ほかにはかなり現代的なリノベーションを施した。

カフェ「CAFÉ 1911」の運営は台湾発のイングリッシュティーショップ、本拠地も台中にある古典玫瑰園(ローズハウス)が担う。イギリス風カフェで有名なチェーンストアだが、和風カフェでも全然問題ない。料理の質から食器のセレクトまでレベルが高い。かつリーズナブル(コレ重要)

しかし「古き良きノスタルジック」とのテーマに基づき、何もかも和風を全面押し出すので、食事のメニューには唐揚げにとんかつ、サバ焼きと一夜干しなど、ほとんど「日本でも食べれるのでは?」との定食。日本から来たお客さんには馴染みばかりで異国風情が足りないかも。その場合は「原味鹽烤雞腿定食(鶏ももの塩焼き定食)」と、「醬味慢燒牛腩定食(サーロインの醤油煮定食)」との、若干中華が混じるものがおすすめ。

なので「醬味慢燒牛腩定食」を注文。

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要は中華料理の「紅燒牛腩」を和風に演出するものだ。インスタ風に撮ってみたら、右の味噌汁が切られた。サラダや漬物や味噌汁はまあまあだが、メインディッシュとごはんがおいしい。

食後には、お待ちかねの主役が登場(えっ?)

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その名は「市役所招財貓冰(市役所招き猫かき氷)」である。完全に撮影用メニューである。てんこ盛りのマンゴーふわふわかき氷に、チョコレート製の耳と目と口を置いたビジュアル系デザートである。運ばれてきた同時に「猫が!」「猫アイス!」「猫アイスが!」と食卓は盛大に盛り上がり。分量はかなり多いので、二人か三人でシェアするといい。

マンゴーアイスでできた黄色の猫のほか、茶色の猫アイスもある。

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チョコレート味と思ったら、実はピーナッツ味だったとの驚き。あまりにもボリュームがあるので、二人も三人がかかっても、なかなか食べ切れない。そのうち猫アイスは溶けて――

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犬になった。デザインした人が全く想定していないと思う。とんでもない客で申し訳ない。

また横に添えてある小ぶりなケーキも、抹茶スポンジだと思ったら、なんとカステラ。カステラもぜんざいも甘さ控えめだが、ちゃんとデザートとしての主張があって非常に良くできている。

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デザートにまたデザートが付くとは。

猫アイスは単品で注文して160元。なのにオマケがたくさんで、このボリューム。台北のマンゴーアイスはなんとも高いと思わざるを得ない。

あるいは台中おそるべし。

ここでもタピオカミルクティーが飲める。入れ物はタピオカの見えない紙コップだけど、いろいろとデザインが凝っている。

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入店時にはちょうどランチタイムでもあり、カフェがほぼ満席。加えて一行の人数も多く、もと展示スペースと思わしき二階の空間に案内された。なので一階の店内に足を踏み入れたのが、食事のあとだった。

午後二時を少し回った頃もあって、客の入りも先程の四分の一ぐらいしかない。ランチタイムの喧騒から一転、のんびりでゆったりとした雰囲気。

窓から、台中市役所が見える。

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市役所から、市役所を眺める――いったいここはどこなのか。

台湾なのに日本的。古いのに新しい。どちらでもあって、どちらでもなく。夢か現かもわからず、古き良き時代への憧れを今もなお立つ建物に投影して存在を得た、歴史の狭間のような空間でゆっくり、ゆっくりと長い長い午後を過ごす。というのもなんだか詩的でステキだよね。

臺中市役所
403 台中市西區民權路97號
+886 4 3507 9006

撮影時間:2020年2月15日
注文内容:醬味慢燒牛腩定食&市役所招財貓冰&冰烏龍珍珠奶茶

同情するなら金をくr……あ。いいえ、なんでもないです。ごめんなさいご随意にどうぞ。ありがとうございます。